Eさんは、私のバイト先で、ちょっとだけ一目置かれている方です。

新人バイトの私に対しても、いつも話しかけてくれ、

何かすれば必ず”ありがとう”と、言ってくれ、

常に紳士的な気遣いをされます。

歩行時は杖を使いますが、認知症はありません。

 

おそらく、施設では利用期間が長い方なのでしょう。

専用の引き出しまであります。

引き出しの中身は、Eさんの文庫本や雑誌、ノートなど。

リラックスタイムにすることが無い時などに、取り出しています。

 

施設の午前中は入浴タイム。

 お風呂にはシャンプーやボディソープが置いてありますが、

Eさんだけは、こだわりのマイシャンプーを持ち込んでます。

 

午後のおやつの時間には、おやつと一緒に温かいお茶が出されます。

基本、甘い飲み物は提供していないのですが、

Eさんはこっそり、スティックタイプのカフェオレを持参して、作ってもらってます。

ちょっとだけ、特別扱い。

 

Eさんがフロアを歩くときは、ご本人の希望により、

職員は杖と反対側斜め後ろに付いて

手を出さずに見守ることになっています。

自立歩行の訓練のためです。

 

ところがある時、お手洗いに立ったEさんが、

あっと思った瞬間、

片方の膝を付いてしまったのです。

 

即、看護師やフロアリーダーが呼ばれ、

膝の状態を見たり、血圧を測定したり。

その間Eさんはずっと、”ごめんね、ごめんね”

と謝るのです。

 

完全に職員の対応ミスで、Eさんが謝ることではないのですが。

Eさんはその日、帰宅の時間まで、

”さっきは転んじゃって、ごめんね”

と謝り続けていました。

 

転んだ時に付き添っていた職員が、事故報告を書いて

上からお目玉を食らうのを心配してくれたのでしょうか。

 

 

Eさん、本当に気遣いの人なのです。

 

 

 

 

 

 

電車に乗って、郊外の電車に乗ってきた

また電車に乗って帰ってきた

楽しかった