先日、「食べ放題」焼肉店の元祖といえる「すたみな太郎」大垣店がきょう12日で閉店することを知り、最後の味を確かめようと同店を訪れた。

 学生時代、焼肉食べ放題の店が愛知県内にあり、アルバイトのお金がたまったら、友人たちとよく通っていた。

 普段はご飯にふりかけといった貧素な食生活だったが、「この日ばかりは思いっきり食べられる」と朝からお腹を空かし、夕方に出かけた。ここは飲み物が別料金。「水で結構」と通常プランのみを注文。野菜や麺類などには目もくれず、ひたすら肉だけを食べつくした。

 「食べ放題のもとはとれない」とよく言われるが、当時、メンバーは体育会系や応援団員で食べ盛り。数日分の食事代を浮かすため、ベルトを緩め、無言で90分食べつくした。

 

 卒業後、地元に帰り、大垣にも「すたみな太郎」があることを知り、家族や教えていたスポ少のこどもたちを連れていくように。おカネの心配がなく、たらふく食べられるので、皆、喜んでいた。

 先日、ネットでこの店が閉店することを知り、むしょうに食べたくなり、誰も誘うことなく、一人焼肉に行った。

 この日は「平日ランチ」。牛カルビ、鶏もも、牛サガリ、牛ホルモン、豚カルビ、牛赤身などのほか、ビンチョウ、海老などの寿司、パインやプリン、ソフトクリームやジェラート、サラダやごはん、スープや麺類などが用意されていた。

 



 料金1958円(税込み、64歳以下)を入口で前払いし、店長さんの案内でテーブルへ。店内は夫婦やグループのほか、一人焼肉の男女もたくさんいた。

 さっそく、ショーケースに向かい、好みの肉をチョイスしコンロで焼いた。甘だれと味噌だれがあり、双方の味が楽しめた。寿司は専用カードに数を書いてオーダー。出来上がると店員さんが食卓まで持ってきてくれる。昔と同じ、味は価格相応。質より量という人におすすめだ。

 この後、麺類やたこ焼き、サラダのほか、食後のデザートとして普段たべないアイスクリームやゼリーなどをお代わり。久しぶりにお腹がパンパンになるまで食べつくした。制限時間の100分を待たず、退店。至福の時間が楽しめた。

 店の関係者によると、この店は全国で5本の指に入るくらい伝統があるらしい。立地条件もいいし、客足もそんなに悪くない。「なぜ、こんないい店が閉まるのか?」と疑問に思ったが、駐車場に出て、その謎が解けた。2軒隣に大手チェーン「焼肉K」ができていたのだ。

 近年、コンビニにしろ、ドラッグストアにせよ、競争が激化している。この波は焼肉店にも押し寄せているようだ。しかし、若い頃の思い出が詰まったこの店が閉店するなんて、惜しい。

 

 ホームドラマ「春になったら」で、がんで余命3ヶ月の父を演じる木梨憲武が「死ぬまでにやりたいことリスト」をつくっていた。リストにはこれまでの人生でやり残したことや過去と向き合おうとする父の最期の願いが詰まっていた。

 ジィジにとって、リストの項目のひとつは「すたみな太郎」大垣店で焼肉を堪能すること。これで夢の一つが叶った。

 このほか、ジィジにはまだまだやりたいことがいっぱいある。限られた時間と体力(気力)が許す限り、「やり残した」ことを消してゆきたい。