先日、地元で「ミスタータイガース」の愛称で知られる元阪神の掛布雅之さんの講演会があった。

 掛布さんは習志野高校からドラフト6位で阪神に入団。背番号31で主にサードを守り、活躍。1985年は3番バース、4番掛布、5番岡田(現監督)によるクリーンナップ、バックスクリーン3連発を放ち、リーグ優勝・日本一に貢献した。

 現役引退後は野球解説者・評論家となり、阪神の2軍監督などを務めている。

 掛布さんは講演で自分の野球経験や指導者として教えてきたことなどを紹介。約300人の聴衆をうならせた。

 



 掛布さんは幼い頃から、元高校野球監督だった父の教えから「準備」を大切にしていた。特に打撃の基本となる素振りを大切にし、バッティングフォームを支える両足には地下足袋のような薄手のシューズを特注。足裏の感覚を確かめながら、スイングを固めた。

 キャッチボールであれ、トレーニングであれ、素振りであれ継続するのは難しいこと。しかし、掛布さんは「準備の継続」を大切にし、選手たちに教えた。

 その「準備の継続」を守ったのは脳腫瘍で28歳の若さで亡くなった横田慎太郎さんと大腸がんを克服した原口文仁選手。横田さんは台湾リーグに参加した際も、「ホテルでバットを振れる場所はないか」とマネージャーに直訴。連戦中もスイングを続けた。原口さんも掛布さんの教えを忠実に守り、練習。がんを克服し、阪神の「代打の切り札」として活躍している。

 

 掛布さんは「昨年、阪神が38年ぶりに日本一になったが、掛布さんは「それは『準備の継続』が実ったから」「金本(元監督)が種を撒き、矢野(前監督)が茎や葉を育てたから。それを岡田が感じ、公言するようになってくれれば」と思いを語っていた。