我が町の自治会では一般の業務のほかに、用水の確保がある。

 用水は近くの1級河川から引き入れたもので、農業用に使用され、昔は生活用水としても利用されていた。

 水は川の上流から3つの水門を経て、長さ約1㌔の水路を下り、圃場へと流れる。自治会長は水門を開閉できる特権があり、ゲートを上下させるハンドルを持っている。



 

 梅雨明けまでは水量も豊富にあり、水の工面もしなくてよかったが、つい先ごろの大雨で流木が川の流れを反対側へと変えてしった。また、ここ数日の猛暑で川の水位が一気に低下。十分な水を確保できなくなった。

 21日午前5時ごろ、農家から「水路の水が無くなっている」「イネに水がやれない」と連絡を受けた自治会長は現場に急行。ちょうど、その時、犬の散歩をしていたジィジと鉢合わせ。

 血相を変えて取水口に向かった自治会長。1人で周囲を掘り始めた。しかし、土砂はとてつも無い量。「1人では無理。他の役員を呼ぼう」と携帯電話で連絡をし始めた。ジィジは見て見ぬふりもできず、一旦、自宅に戻り、スコップ片手に現場へ。しかし、集まっていたのはたった1人。しようがなく3人で掘り始めた。


 早朝といってもアツい。額からは汗が吹き出した。ジィジは用事があったから、早めに切り上げ、自治会長に「業者を依頼し、重機でやってもらったら」と進言した。


 この自治会長、実は何をするときでも「どうせ無理」「やっぱ、ダメやろうな」と諦める。

 「どうしたらいいののか」と聞いてきたから、ジィジは「もっと、前向きに。ポジティブに物事を考えろ」と叱責。いくつかの方法を教え「しかし、最終的に判断するのは自治会長」と進言した。

 その後、自治会長は翌日、自治会の全役員を強制招集。人海戦術により何とか、事なきを得た。

 

 自治会長に進言したジィジだが、この言葉は闘病生活を送っている自分にもいえること。もっと強く生きなきゃ、と思う。