2006年 ドイツ 138分
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルディナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ
旧東ドイツで反体制派への監視を大規模に行っていた秘密警察"シュタージ"の実態に焦点を当てたヒューマン・ドラマ。芸術家の監視を命じられた主人公が図らずも監視対象に影響されていく姿を静謐なタッチでリアルに描き出す。監督はこれが長編デビューのフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。1984年、壁崩壊前の東ベルリン。シュタージの局員ヴィースラー大尉はある日、反体制的疑いのある劇作家ドライマンとその同棲相手の舞台女優クリスタを監視し、反体制の証拠を掴むよう命じられるのだったが…………。
ベルリンの壁が崩壊する5年前ぐらいから崩壊後4年後までの話。
ドイツが西と東に分断されていた頃の情勢など全然知らなかったが、
東ドイツのあんな状況下の中で、本当に人々は幸せに生活できていたのだろうか?と思ってしまった。
ドライマンは、誕生日にある資格を剥奪されている演出家から『善き人のためのソナタ』譜面をプレゼントされるが、何日後にその演出家が自殺してしまう。
追悼の意味で譜面を持ち出しドライマンは、
『善き人のためのソナタ』をピアノで弾き、
そして「この曲を聴いた者は、本気で聴いた者は、
悪人になれない」と言う。このやり取りも当然盗聴しているヴィースラーの耳に入っている。
このあたりから話は、静かに動き始めていく。
自分の愛していたクリスタの裏切りにより、自分が窮地に陥るが皮肉なことに、
ずっと監視していたヴィースラーの組織に対しての裏切り行為で命が救われることになる。
ベルリンの壁崩壊後に、ドライマンは盗聴されていたことを、
その当時東ドイツを操っていた大臣に告げられ、その報告書を目にし、
初めてヴィースラーの存在を知り自分の命の恩人だと知る、
消息を探し出し声をかけようとするが、思い留まる。
その後、2年間作品を書いていなかったドライマンは、
2年がかりで作品を書き上げた。
ヴィースラーは、本屋でドライマンのポスターを見つけて、
その本を手に取る。『善き人のためのソナタ』となっていて、1ページめくると、
"感謝をこめてHGW XX7に捧げる"と書いてあった。
それはヴィースラーの暗号名だった。
その後にレジで会計を済ます時に「ラッピングしますか?」と言う
店員に「いい、私のための本だ」と無表情に見えるが微かに嬉しそうな表情が見てとれたのが良かった。