「この研修を受けて、未来にワクワクしてきました!」
「自分ならできる、そんな自信が湧いてきました」
研修の最後に、こうした「前向きな言葉」をくれる受講生。
講師として、これほど嬉しいことはありませんよね。彼らのマインドが「陽」に転じ、成功イメージに溢れている。その姿を見て、「今日の研修は大成功だ」と確信して、軽やかな足取りで会場を後にする……。
わかります。
受講生をポジティブに変えること。それは講師の腕の見せ所であり、彼らの人生に光を灯す行為そのものだと思えますよね。
しかし、その「ワクワク」という名の快感が、
受講生の行動を根こそぎ奪っているとしたら?
「成功した自分」をポジティブに想像した瞬間、
脳は「もう達成した」と勘違いし、動くのをやめてしまいます。
なぜなら、心理学には「メンタル・インダルジェンス(精神的耽溺)」という概念があります。
未来の成功を鮮明にイメージしすぎると、脳は快楽物質を放出し、実際に努力するために必要な「渇望感」を失ってしまうのです。
■ 「理想の自分」に酔いしれる脳の不条理
想像してみてください。
研修で素晴らしいビジョンを描き、すっかり「成功者」の気分になった受講生。
しかし、現場に戻った彼を待っているのは、地味で泥臭い「最初の一歩」です。
・脳内ではすでに「成功」を味わっているため、現実の苦労がバカバカしくなる
・ポジティブな気分が、現状の危機感(痛み)を麻痺させてしまう
・結果、「そのうちやる」「自分ならいつでもできる」という傲慢な先延ばしが始まる
これは受講生の性格が悪いのではありません。
「ポジティブな想像」という麻薬を安易に与えすぎた、講師側の設計上の致命的なミスです。
「ワクワク」を煽るのは、
お腹を空かせたライオンに、豪華な「料理の写真」を見せて満足させてしまうようなもの。
満足したライオンはもう狩り(行動)には出ません。これのどこが「目標達成」の支援なのでしょうか。
■ 「理想」と「障害」を同時に脳へ叩き込め
プロの講師(アーキテクト)がやるべきは、ポジティブ思考の推奨ではありません。
「理想の未来」と「それを阻む冷酷な現実」をセットで見せ、脳を「不快な緊張状態」に置くことです。
「ワクワク」を「不快なエネルギー」に変換してください。
- ・成功イメージの直後に、必ず「明日直面する最悪の障害」を具体化させる(メンタル・コントラスティング)
- ・「得られるメリット」よりも、「行動しなかった時の損失」を物理的に可視化する
- ・受講生をスッキリさせず、「今すぐ動かないとマズい」という焦燥感を抱かせたまま現場へ帰す
受講生を「夢見る人」にさせない。
彼らが現場の壁にぶつかった時、それを「予定された障害」として淡々と処理できる「冷徹な実行プラン」を構造で持たせること。
この「ネガティブをガソリンにする設計」こそが、ポジティブという名の思考停止を防ぎ、現場で足を動かし続けさせるための唯一の知恵になるのです。
あなたはまだ、受講生を「良い気分」にさせるために教壇に立ちますか?
「感謝されたい」「人気者になりたい」という承認欲求に従いたいなら、それでいいでしょう。
しかし、本気で「現場を書き換える成果」に執着したいなら、
ポジティブという名の甘い毒を捨て、構造という名の厳しい現実を設計図に組み込んでください。
無意識をハックし、構造で「冷徹な実行」を強制する環境変革術。
その、プロフェッショナルとしての冷徹な「行動心理設計」については、
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