私が学生の頃、というから昔の話です。
その昔、まだインターネットと呼ばれるシステムが黄色いケーブルに突き刺さっていた(謎)ころの話です。
学生は、申請すればメールアドレスがもらえはしましたが、一人1PCという時代ではなく、メールを見るのは研究室の共有PCから、という時代でした。
あの事件が起きたとき、私が所属している研究室は、修士課程の私を除けば
・いつでもハイテンションの S教授
・まじめだが時々ソソウをする I先輩(博士課程)
・特技は「いいたずら」という Y君(修士課程)
という4名構成でした。
この研究室はたいへん就職のコネが効くところで、ほぼ1年おきに某メーカーP社にだれかが就職していました。
1年おきなのは、その間は博士課程に進学する人が出るからです。
博士課程の学生であるI先輩の同期にも、修士課程を卒業後P社に就職したM氏がいます。
M氏の上司は、これまた卒業生のK氏、さらにその上にも大先輩がいる・・・という具合でした。
さて、事件が起きたのはある春の日の午後です。
I先輩は昔の文献についてK氏に問い合わせのメールを書いていました。
・・・ そして、メール書きかけのまま、I先輩は実験作業のためにPCの前を離れます。
・・・ メールソフトを開いたまま!
そしてその事件は起こりました(というか、起きていたようです?)。
事件が発覚したのは、私宛のM氏からの1通のメールです。
M「ねえ、Iが結婚したって本当?」
M「どうして僕に連絡してくれなかったんだろう?」
M「全然気付かなかったよ」
なにやら、しょげているようです。・・・ていうか、なんだって?!
わたしはI先輩とは土日も含めて朝から深夜まで一緒に生活しているはずで、そんな、結婚なんてことになったらたとえ隠していたとしても・・・いや、じつは田舎にイイナヅケが・・・(大混乱<私)
同期も知らない、先輩のヨキコト。なんとなく、直接本人に聞くのははばかられそうな気がしたので、情報をもとめた私はとりあえずYに聞いてみたのでした。
しかし、なにやらYの様子がおかしい。いや、おかしくないのかもしれない。いつもの、何かをしでかした時の態度である。物置小屋の陰(笑)に呼び出して問い詰めたところ・・・
Yは・・・I先輩のアドレスから、K氏に勝手にメールを送ったのです・・・それも、たった1行。
「結婚しました」
とだけ
。そのとき、研究室の方から電話が鳴るのが聞こえました。続いて、
「・・・はぁーーっ?」
という大声が聞こえました。何事かと、あわてて走って様子を見に行くと、電話を受けたのはI先輩です。
あとで聞いた話ですが、その時の会話はズバリ、
大先輩「やぁ、I君。Kからきいたんだけど、結婚したそうだね? おめでとう」
だったそうです。当然、I先輩は猛然と否定したわけですが、
大先輩「そんなー、恥ずかしがることないじゃないか~
。年齢的にはもう結婚してもおかしくない歳なんだしー」I先輩「いえ、そういう問題ではありません!」
K氏「もう、はずかしがっちゃってー。自分でメール書いときながら~」
I先輩「かいてません!」
その日の夕方、お茶の時間です。
私と近所の研究室の野次馬たちの見ている前でYはI先輩にこっぴどく怒られ、しかし、野次馬たちによって
「やっぱり、Iさんは結婚した方がいいんじゃないか」とかいう話の流れになり・・・
そして、最後に、S教授が現れました。
S教授「おう、I君。結婚したそうだね、おめでとう(満面の笑み)」
PS そして、今日はS教授の定年退職の記念日です。
退職しても、師匠は師匠です。これからもお導きくださいますように(なにを?)
