朝から雨だったので本を読んでいたら、雨も止んだので“つば九郎“散歩。

と言っても、倉庫でラゲッジ・ボックスを整理するだけでした。

 

村上春樹の『アフター・ダーク』を完読したので記録。前半のあらすじは、7/21のブログに記したので端折ります。『アフター・ダーク』、アフターは“後”、ダークは“夜“という意味があるので、“夜の後“という意味かな。深夜と解釈するか、早朝と解釈すべきか?、“村上春樹“しか分かりません。自分は夜の後に必ず“朝“が来るという意味でのタイトルでないか、と解釈しました。

 

この小説、場面が切り替わる度に時計の絵で時刻が表示されます。なので、時間を感じながら読み進めることになります。スタートがPM11:56、エンディングがAM6:52。深夜から早朝にかけ7時間の、シーンが300ページに凝縮されています。

 

タイトルに戻りますが、トロンボーン奏者“カーティス・フラー”の『アフター・ダーク・ファイブ・スポット』に由来すると考えると、“ファイブ・スポット”が気になります。ファイブ・スポットは5つの地点(場所)という事で、深夜の出来事を5つの地点(視点)から俯瞰するイメージで小説を描いたのではないか?とこれまた想像しました。

 

上記の意味で考えると、5つの地点は、主人公(浅井マリ)が登場するファミレス(“デニーズ“と“すかいらーく“の2箇所)、姉(浅井エリ)が眠るベッドルーム(読み進めないと場所は分からない)19歳の中国人娼婦が暴行を受ける“アルファビル(ラブホテル)”、暴行した“白川“という男の職場と自宅、最後はコンビニ(セブン・イレブン)でないか、と考えました。

 

自分の場合、19歳大学1年の主人公:“浅井マリ“が何故、PM11:56にデニーズで本を読んでいるのか?、家出か?、という疑問からスタートしましたが、、、

 

姉の同級生(高橋)という男と出会い、とりとめない会話からスタートし、“高橋“と出会うことで、“カオル“という(ラブホテルの)マネージャーに出会う。そこから中国人娼婦の通訳をし、(ラブホテル従業員)の“コオロギ“、“コムギ”と出会う。娼婦をデリバリーするバイクに乗る謎の中国人も登場する。

 

一方、姉(浅井エリ)はベッドの上で眠っているシーンが並行する。

 

更に並行し、(娼婦へ暴行した)“白川”という男の職場、プライベートが描かれていく。“白川“は携帯、財布、下着を含む娼婦が身に着けていたもの全てを職場へ持ち帰る。財布からお金(3万)を抜き取り、着ていたものは街のゴミ置きへ捨て、“銀色の折り畳み式携帯“は“コンビニ(セブン・イレブン)“のチーズの横に置いて捨て去る。“白川”はラブホテルの防犯カメラで撮られた自分の写真がマフィアの一員と思われる謎の中国人へ渡っていることは全く知らない。

 

数時間後、“高橋”がツナの入ったサンドウィチを買う為、立ち寄った“セブン・イレブン”で、チーズの横に置いてある“銀色の携帯“が鳴り出ると、『逃げ切れないよ』、と言われるが、、、そのままにして立ち去る(その後、コンビニの店員も携帯へ気づき、出るが、、、)

 

浅井マリは“高橋“と身の上話(高橋が姉と食事をした時のこと)を聞いたり、ラブホテルで“コオロギ“と身の上話をする。その中で姉の一面に気づいていく。

 

“高橋“は“浅井マリ“が好きになっていく。

 

結論を言うと、結論はありません。結論を求めてはいけないのかもしれません。

 

主人公の浅井マリと姉のエリの間に、深い“もやもやしたもの“があり、“アフター・ダーク“の7時間で、もやもやがなくなっていく小説と言ってしまうと、それだけなのです。

 

“白川“がマフィアに見つかるとか、“高橋”と“浅井マリ“の関係が発展するとか、姉妹がどうなるとか、ラブホテルの従業員は、とかとか、自分で想像するしかないので、完読後、逆にもやもやした。