「21世紀を迎えた地球の科学力は太陽系の果てに宇宙ステーションを作るまでに発展していた。
だが更に太陽系の外へ宇宙船を飛ばす計画を立てていた。それは全地球人にとって重大な使命を担っていたのである」(ナレーション)
「汚れてる。昔の地球は美しかった」(恒星)
「キャプテン。地球の命は後どのくらいもつのですか?」(隊員)
「風前の灯火」(恒星)
「は!?」(隊員)
「嵐の前の蠟燭の火の様なもんだ。見ろ。汚れ切った地球の大気を。
原水爆や公害が生んだ〇の汚染物質だ。間もなく重力が勝って雨の様に降り注いでいくのだ。その時、人類は滅亡する。
どんな事があっても、この宇宙開拓計画を成功させねばならん」(恒星)
「リープ航法が完成すれば銀河系を飛び回る事もできるんですがねぇ」(隊員)
「それまで地球がもつかどうかだ。地球を救うのが遅かった。誰の責任なのか」(恒星)
「キャプテン。謎の飛行物体が接近してきます」(隊員)
「流星か?」(恒星)
「違います。怪しい電波を放っています。恐らく宇宙船でしょう」(隊員)
「ん? 宇宙船?」(恒星)
「いやぁ地球の宇宙船がいるはずがない。すると …」(隊員)
「うむ …」(恒星)
「第1話 太陽の勇者」
「その頃、遥か離れた地球では」
(ナレーション)
「お父さん、成功を祈っているよ」(城二)
「城二さん。スペースエンジェル号が」
(ひろみ)
「ひろみさん、どうした!?」(城二)
「早く! 早く管制室へ」(ひろみ)
「えっ!?」(城二)
「うわぁ~~」(全員)
「スペースエンジェル号より宇宙開発センターへ。スペースエンジェル号より宇宙開発センターへ」(恒星)
「残念ながら重力装置が破壊されました。逃げ切る事も不可能です。うわ~~」(恒星)
「南君どうした!? 頑張るんだ」(天地)
「駄目です。残念です」(恒星)
「非常カプセルで脱出しろ」(天地)
「うわぁ~~」(恒星)
「お父さん! お父さん!」(城二)
「お父さぁ~~~ん」(城二)
「宇宙開拓計画の第一の犠牲者を出してしまった」(天地)
「お父さぁ~~~ん!」(城二)
「お父さん悔しいでしょう。お父さんの唯一の夢が果たせずに終わってしまったんだ。太陽系から飛び出す夢が。俺は憎い。お父さんの夢を奪った宇宙人が」(城二心の声)
「パパが城二さんにお話があるんですって」(ひろみ)
「天地局長が?」(城二)
「あっ!?」(城二)
「さぁ、入りたまえ」(天地)
「ここは私の秘密研究室だ」(天地)
「あっ …」(城二)
「ぺガス」(天地)
「あっ!?」(城二)
「すごいロボットだ」(城二)
「コンニチハ」(ペガス)
「あっ … こ、こんにちは」(城二)
「はっはっはっはっは。城二君、このペガスは私が3年かかって作ったのだ」(天地)
「素晴らしいロボットですね」(城二)
「城二君、宇宙開拓計画の目的を知っているかね?」(天地)
「父から聞いていました。太陽系の外に出られる宇宙船のテストでしょ?」(城二)
「実は第二の地球を探す事だ」(天地)
「第二の地球? では、この地球はもう駄目なんですか?」(城二)
「公害で大気は汚れ切っている。地球の資源も残り少なくなっている。地球を美しく再生しようとするクリーンアース計画は既に中止した。地球を救うのは遅かったんだ」(天地)
「この地球が滅びる!?」(城二)
「そんな事、信じられない」(城二)
「だが事実だ。地球の命は3年ともつまい。いや、その前に地球人は恐ろしい宇宙人に滅ぼされるかもしれない。
宇宙人は太陽系に近づいて来ている」(天地)
「父を、スペースエンジェル号を襲った宇宙人達ですね」(城二)
「一日も早く第二の地球を探し出し全地球人を無事に移住させねばならない」(天地)
「局長、父が果たせなかった夢を僕が受け継いで必ず果たしてみせます」(城二)
「さすがは南君の倅だ。
私はその言葉を聞きたかったのだよ。このペガスは別の目的で作ったんだが君にあげよう」(天地)
「えっ!? 本当ですか?」(城二)
「ペガスは力も強いし空を飛ぶ事もできる。ペガスを馬代わりにして宇宙パイロットとしての腕を磨き、お父さんの意志を継いでくれたまえ」(天地)
「はい」(城二)
「な、何ですか、この仕掛けは?」(城二)
「人間の細胞をパワーアップしてテッカマンを作る装置だ」(天地)
「テッカマン?」(城二)
「まぁ鉄の鎧を着た中世の騎士って感じかな? 一種のスーパーマンだ」(天地)
「局長、ここに入れば誰でもテッカマンになれるんですか?」(城二)
「それが問題なんだ。特別な波長を受け入れる体質でなければ駄目だ。
普通の人間だったら、たちまち〇んでしまうだろう」(天地)
「特別な波長の体質?」(城二)
「誰もがテッカマンになれるまでには、まだまだ研究と開発が必要なんだ。
完成までには何十年かかるかなぁ。ははは」(天地)
「地球の生命が後3年以内という事実は極秘にされた。何故なら、もし人々がこの事実を知ったら、その驚きの為に大混乱が起きると予想されたからである。
ある日の夜、この悲しみを秘めた地球に
宇宙から訪れたものがあった」(ナレーション)
「汚ったねぇ、地球も終わりか」(梅田)
宇宙の騎士テッカマン 第1話 その1 End
↓その2へ続く。