労働局、内部告発9件放置 担当官「忙しかった」 静岡
 国の雇用調整助成金をめぐり、「自分の会社が助成金を不正受給している」などとした内部告発に対し、静岡労働局の担当官が速やかに検査をしていなかったことが朝日新聞の調べでわかった。
 各地で同助成金をめぐる不正受給が相次いだことを受け、厚生労働省は2010年度に検査強化を全国の労働局に指示したが、担当官は10年度以降で9件の告発を事実上放置。告発後1年以上たってから検査していた。
 担当官は朝日新聞の取材に「会計検査院への対応や刑事告訴が必要な別の不正受給事案が重なり、手が回らなかった」と説明。そのうえで「検査はしており、放置したわけではない」と説明している。
 同助成金は、国が休業中の従業員の賃金を一部負担する制度。担当官や関係者の説明によると、9件のうち1件の告発は10年10月に寄せられた。休業中の社員に教育訓練を受けさせたなどとして助成金を受領した静岡県内の会社に関するもので、実際には訓練を受けさせたとされる日に働かせたことを示す書類などが届いた。通報の趣旨について「不正に加担したくない」としており、内部関係者からの情報提供をうかがわせる内容だったという。 しかし、担当官が検査に入ったのは約1年5カ月が過ぎた今年3月。会社側は当時も助成金を受給していたが、担当官が会社を訪れたのは訓練の実施日や社員を休ませるとした日ではなく、事実上効果の低い検査となった。
 訓練の実施日に合わせて検査をしなかった理由について、担当官は「日程が合わなかった」と説明。この会社とは別の事業者の不正受給疑惑を指摘する内部告発も8件あったが、いずれも1年以上たった後に検査していたことを認めた。
 静岡労働局によると、雇用調整助成金に関する不正受給の通報は年間50件前後で、10年度に8件、11年度に3件の不正を確認したという。労働局は取材に「不正受給が疑われる事案は速やかに調査し、厳正に対処している」と説明しているが