屍鬼-11 | 鷲

私の読書の感想

敏夫達は負傷し尾崎院にて治療中。
もうすぐ夜明け。
狩りの時間だ。
夜明けと同時に目を覚ます清信。
夜明けと同時に目を閉じる沙子。
二人の短い時間。
沙子 「ここ」
自分のに手を当てる―――――――。
杭で胸を貫くってどういう感じなんだろう?
痛いのかな?
私のこの細い骨も薄い。
こんな身体に彼らは渾身の力で杭を刺しこむだろう・・・・・・・。
怖い。ただ怖い。
いままでたくさんの人達を殺してきた私に祈る神様なんていない。
何者にも救いを求められない。
でもを吸わないと死んでしまう、殺伐とした摂理の門題
沙子 「これが――――――――
     ――――――――神様に見放されるということよ・・・・・・。」

その後、トランクに沙子を詰め込み持ち去る清信。
それを待っていたかのように現れる辰巳。
大きなバイクに乗っている。
清信は車に乗り門を出る――――――――――。
敏夫!!

沙子に血を吸われ力が入らない。
なので、寺で隠れて回復を待つことに。
清信を桐敷邸から出てきたのを見た村人は寺の人間も敵だと思い込み。

清信の母親を無残に殺す――――――――。

その頃正雄はというと。
一人逃げていた。恵を一緒に誘ったが殴られた。
自分の住んでいた実家に辿りつく。
窓からこちらを見る智香。
正雄に虐められていたのでひどく怯えている模様。
なんとか、家のを開けてもらう。
ドッ。
正雄の頭に包丁が―――――――――。

智寿子 「嘘つきで残酷で他人に対する共感や想像力を持たない
      そして他人を平気で利用する。―――――――あなたはそういう子。」


敏夫達と前に現れる佳枝。
身体中に爆弾を巻きつけている。
一気に多くの村人を巻き込み爆発。
小屋に居た律子と徹も見つかり殺される。

恵はずっと棺桶の中で寝ていたのでばれなかった。
荷物をもって華の都会へ――――――――
バス停に着く。
恵 「――――――結城・・・・・・・くん!?」
その一瞬。気を緩めた恵にトラックが襲いかかる。
無残に轢かれ、トラックに下からヨロヨロと歩き逃げる。
それから数週間後。
ついに逃げ切って都会に来たわ!!
憧れの原宿!!ラフォーレが目の前!!
もう誰にも私をバカになんかしないの!!
私は、まだ15歳だしやることがある!!可能性がある!!
トラックの荷台、胸には8つの杭が。

だから死ぬなんて考えられないの・・・・・・・・――――――――。

―――――日没
目を覚ます清信。
目の前の死体。母だ。
誰が!?
後ろから横腹に刃物が――――――――。
一撃くらった後、勝手に事故る村人。
その刃物と、トランクを持って森に来ていた。
思った以上に出血がひどい。
力が・・・・・・・・・。
トランクを置いてフラフラとになるため離れていく。

精神が不安定になった一人の村人が火を起こし森が燃えていく。
その炎をみつめる辰巳。
背後には夏野がを構えている。
何発か命中するもそのまま夏野を首を締め上げる。
パンッ!!
近くに居た夏野の父親が辰巳のを銃弾で貫く。
その隙に辰巳の手と自分の手を手錠で繋ぎ、地獄谷へ落ちていく――――――。

辰巳は腹をで貫かれ、夏野は目を開けながら動かない。
本来、人狼こそが正しい形
屍鬼は皆、出来損ないだ。
人狼になれなかった副産物
でも、辰巳は屍鬼の沙子に従う。
彼女は滅びの象徴だから――――――――
辰巳は虚無主義なのだ。
いづれ皆死んで朽ち果ててしまう。
沙子は美しい、悪で反社会的で反秩序だ。
彼女は村に屍鬼の村を作ろうとした。
上手くいく筈もないそんな願いも見ていて愉しかった。
いづれ人狼が人を喰い散らかし、世界は滅びる。
そんな時、辰巳は世界で最後二番目に死ぬんだ。
一番は沙子に譲ってあげるんだ・・・・・・・・・・
今までのお礼にね――――――――――――。

沙子は清信が息絶えているのを見つけ一人教会に入っていく。
神に祈るように――――――
なぜさほどに我を憎み給うか。

背後には大男、大川が。
四肢を杭で貫かれ、壁に固定される。
この男は人を殺すことに快感を覚えている!!
楽しんでいる!!
大川 「――――――ん?」
頭に刃物が喰い込んでいる。
清信だ。
大川のを切り落とし、殺す。

彼は屍鬼になっていた。
ここで死のうとしたのに彼が生きていてはが消えない。
清信 「殺人とは人の世界の罪
    人ではない君は罪に咎められない。」

小説の最後。
弟を殺し彼の名を叫んだ。
だが、その声は風に巻かれ自分の耳に戻る―――――――
自分になど居なかったのだ。
彼は自分の一部、皆から愛されていた自分。
その自分を殺した。
とっくに荒野に住まう悪霊のひとつに成り果てていたのだ――――――――。


―――――数か月後 東京
小説編集者。
担当しているのは室井 清信という男だ。
彼には会ったことがない。
村が滅びゆく中、自分にこの”屍鬼”という小説の原稿が届いたのだ。
外場村は滅び、家のほとんどは全焼。
村からは多くの奇妙な死体
そのほとんどに胸に杭が刺さっているのだ。
生き残った人に聞いても一向に口を割らない。
謎のままなのだ。
そんな中に清信。
彼はいたのだ!!だからどうしても彼に会いたい!!
というライターの男。

窓から外を見る編集者。
一人の少女と目が合う―――――――――。

沙子と清信は人ごみに消えていく。

屍鬼 全11巻
おしまい。