そう伝えれれた皆は、当然悲しむわけで。
カルタも大泣きで。
あの双熾も悲しい顔。
でも彼の死を無駄にはしない。
彼の死体は悟ヶ原家に運ばれ思紋による過去の追憶が行われる。
そこに突入する。
決行の日。
残夏と卍里は外で待機。
他の皆は使用人に変装し儀式の行われる場所へ侵入。
双熾は女性に化けて。連勝は巻物みたいに野ばらの脚にくっついている。
連勝 「なんか。オレ・・・・・・・何か悟り開いわ・・・・。」
羨ましい。
蜻蛉が運ばれてくる。
命 「死体を確認したいだけだ。」
きちゃった。
想定外。
棺桶に近づく命をカルタがふさぐ。
あちゃ~。
命 「オレは百鬼夜行を率いて悟ヶ原家に襲撃。思紋を仲間にするために。
でも作戦は失敗し、4人の先祖返りを仲間にするっていうシナリオでどーお?」
思紋は庇うのか。
僕らは
きっとどこかで信じきれていなかった。
自分達の良き理解者であり、いつも導いてくれた存在が。
僕らを裏切っていたなんて。
その目で見る迄は―――――――。
思紋 「良い・・・・・!其方の物語には期待している。
世界を駆け回る冒険譚は喜劇か悲劇か――――――」
物語は人の数だけある。
それが全て生々しく綴られている。
この人完全に中毒ですね。
物語がつまらない方へ進みそうなときはアドバイスをする。
ゲスかな?
蜻蛉の棺桶を持ち去り、クロエとどっかへ消えていく。
自我を失った妖怪たちが。
命も消えていく。
ここは野ばらと連勝に任せて3人を追う。
命を追った先は”千年桜”
命はこれまで何回も凛々蝶達と戦ってきた。
違うルートは無い。
こんな身体に終着点はない。永遠に物語を運び続ける。
思紋が死ぬ度に。
それこそが、目的。
カルタ対クロエ。
相変わらずデカいし強いな。
クロエ 「まぁ・・・・大きい♡
ぜひお相手して下さいませ♡」
ここにも多くの妖怪たちが。
命 「何千回と見てきた物語の最終章だ――――――」
命の出現を聞いて走ってむかう卍里。
俺にしかできない事がある!!
残夏の身体はもう限界。
残夏 「一緒におじいちゃんとおばあちゃんになるんでしょ・・・・・ねぇ・・・・
蜻たん――――――」
クロエを圧倒するカルタ。
蜻蛉の棺桶を発見し、変化を解き棺桶にすがりつく。
クロエ 「戦いの最中に余所見なんた酷い侮辱です。」
この戦闘狂が。
それでもどかないカルタ。
ならば、と。
始末しようとするクロエ。
蜻蛉 「―――――――だが断る。」
棺桶の中から蜻蛉登場!!
死んでなかったんかい。
カルタを抱き寄せる。
題して、
貴様が私の死に不信感を抱き思紋を心配して遺体を確認しようと
悟ヶ原家へ飛んで火に入る夏の虫大作戦!!
長いよ。
協力者は残夏と全国の先祖返り達。
多くの妖館の住人が集う。
住人A 「家畜ではないけど、皆 彼に助けられたから。」
住人B 「変えるんでしょう!?皆の未来を!!」
さすが蜻蛉の人脈。
先祖返り達と自我を失った妖怪の大戦争。
ここで断ち切る。
これは僕たちだけじゃない。
消えていったifの僕たちの思いも――――――
命 「お前達にそれが出来るのか?何度も繰り返してきた長い因果を。
今回のお前達なら断ち切れるって言うのか?」
卍里 「―――――断ち切れる・・・・・!!」
命 「卍里・・・・・・・・」
クロエが起き上がる。
どうやら蜻蛉の一撃は峰打ちだったらしい。
変化して即座に卍里を庇うカルタ。
その隙に思紋の下へ消えていく命。
それを追う双熾――――――――。
蜻蛉対クロエ
蜻蛉 「私達の目的は殺し合いではない!
出来る限り傷つけたくない・・・・・・・・だが
そこまで言うドMにはドSでお応えしよう!!」
クロエ 「期待できそう・・・・♡」
最初に思紋の下に辿りついたのは凛々蝶。
そこには横に倒れる思紋の姿が。
もう長くない。
物語を見せるのを拒む。
大切な日々だから、もう出会ってしまったから。
でも
思紋 「其方を変えた物語を儂は見たい―――――――」
凛々蝶を押し倒し、首を絞める。
そこに現れる命と双熾。
いつか見た風景。
双熾の刀は弾かれ右腕に傷を負う。
そしてその刀を拾い双熾を仕留めようとする命。
もう失いたくない!!
今度は僕が!!
彼を――――――――。
卍里 「やめろ命―――――――!!」
動きが止まり、胸を貫かれる命。
命 「おまえ ホント うぜぇ」
――――命の過去
不自由を強いられてきた俺は家を出て一人でいた。
人を殺し、金品を奪う毎日。
ある日俺は捕まり悟ヶ原という一族の下へ連れていかれる。
そこで出会った一人の少女。
悟ヶ原 思紋に―――――。
俺と同じ先祖返り。
外に出ることが許されない、ずーっと一人ぼっちの寂しい女。
天真爛漫で無邪気な思紋。
悟ヶ原の檻に閉じ込められた俺に思紋は鍵を渡してくれた。
これで自由だと。
すぐさまここを逃げ出した俺だが、何故が自然と思紋の下へと帰っていった―――――。
そうして二人の生活が始まった。
思紋はいろんな事に興味があって、死んだ猫を俺に嬉しそうに見せてくる。
死を軽く見ていた。
そして思紋は俺を秘密の場所へ招いた。
大きな桜の木へ―――――――。
この木は千年桜。
未練ある過去へ遡ることのできる妖怪。
俺はこの木に触れ、意識が飛んだ。
未練ある過去がない俺には帰る場所もなく、時空の狭間を三日三晩彷徨った。
そして目を覚ました時、俺の髪は桜色のように白くなっていた。
千年桜は俺の時を奪ったんだ。
俺は思紋が死んでも
この先ずっと独りで生きていくのか――――――――。
命 「あんなもん使ったって、未練なんかねぇよ・・・・・
俺にはお前しかないんだよ・・・・・・・。」
思紋 「儂がどんな歳になっても・・・・・いや、儂が死んでも。何回生まれ変わっても。
必ず儂が側に居る。次もその次も儂も側にいる・・・・・!!」
命 「今のお前がいい・・・・・・・・・」
思紋 「・・・・・うん 命。解った・・・・解ったよ・・・・・・」
儂が死んだら――――――
――――――儂が其方の未練ある時間になろう。
それから俺を置いて、時はすぎていった。
思紋は年老いていくほど、物語に魅せられていった。
そして俺は、思紋のために同胞を殺した。
それが多くなって多くなって、
百鬼夜行が出来上がった。
そして思紋が死んだら過去へ遡る。
でもなんだろう。
思紋のために繰り返しているのに。
思紋の笑顔はあの頃とは違った。
どんな物語が欲しい?
どんな時間でも軽く越えて君の幸せを運ぶから―――――――。
思紋が死んだあと残っていた時出会った。
卍里に。
偶然。ほんの気紛れで残った世界で。
いろんな事を忘れて無邪気に笑っている自分に気付いた。
もしかしたらこんな人生も有ったのかなって・・・・・・・。
こんの一欠片の希望を見てしまった気がして、たまらなく逃げ出したかった。
悲しいと、そう思ってしまいそうで―――――――
――――。
倒れる命の手を握る卍里。
手に持っているのはifの世界で命が幼い卍里に渡した別れの手紙。
未来から送られてきた封筒には二つ入っていた、卍里のと、命からの手紙。
そこには命の文字で、
「命を救ってやってくれ」
そう書いてあった。
だから――――――――
卍里 「―――――――お前を救いに来たんだ。」
命 「なん・・・・だよ・・・解った様な口利きやがって。
お前のことよく知らねーよ・・・・・・・」
でも、何度でも生まれ変わる。
次の命はきっと救われる―――――。
命 「また・・・・会えるのか・・・・・・・
思紋・・・・・・愛していたよ―――――――」
不老であって不死ではなかったみたい。
静かに息をひきとる。
動かなくなった命に近づく思紋―――――
カルタ 「解らないけど。多分この人はちゃんと知るべきだと思う――――」
命の頭に手を添える。
・・・・・・・紋
・・・・・・・・・・・思紋
二人は出会う初めて会ったあの日の姿で。
思紋 「命・・・・・・・」
命 「俺が死んだらやっと共有できる。
お前が知らない俺とお前の本当の出会い。」
思紋 「命・・・・・・・」
命 「やっと知って貰える――――――」
思紋 「うん・・・・・うん!
やっと解った!」
命 「思紋・・・・・・。」
思紋 「やっと・・・・やっと解ったのに・・・・・・・・」
命 「――――――気付くの遅ぇよ、ばぁか」
ずっと
――――――愛してたよ。
そして彼を追うように思紋は息をひきとった。
僕らにとって僅かで、
彼にとってはとてつもなく長かった
百鬼夜行は終わりを告げた――――――。
――――3か月後。
思紋の墓参りをすませる卍里とカルタ。
二人はもう恋人同士ですな。
昔より妖怪の姿は認識されにくくなってるらいしい。
カルタ 「だから今を大切にしようね。いっぱいありがとう言おうね。」
連勝は実家の家業を手伝うことに。
連勝の告白に、悪くない反応をみせる野ばら。
長期戦は覚悟していると、
もう後悔はしたくないから。
赤面野ばらメニアック。
残夏の病室に蜻蛉とクロエ。
クロエの一族は短命。
残夏の短命とは違って、単に戦闘一族だかららしい。
墓の前で放心状態だったクロエを蜻蛉が
「貴様の運命も変えてやろう
世界中を探しまわろう!まだ見ぬ猛者が沢山いるぞ!!」
ってな感じで連れてきた。
蜻蛉かっこいい。
次は残夏。
蜻蛉 「次は貴様の未来を捜しに行く!!」
もう落とし所だった。もう充分だったのに。
涙を流す。
蜻蛉 「諦めるなら全部あたってからでも遅くはない。
世界は広いのだ。見てみるがいい―――――
―――――――貴様の百の目で」
かっこいい!!
病室の外で凛々蝶と二人。
残夏を気遣い、中には入らない。
双熾 「いじっぱりですからね。いつか殴ってやろうと思っていました。」
おお。
二人も恋人同士。
凛々蝶を”さん”呼びするのがまだ不慣れな様子。
いや、犬と公言する方が恥ずかしいかと。
ifの僕から貰った手紙には代筆ではなく。
彼の言葉も書かれていた。
それは僕と彼との秘密。
今日は皆でお花見。
お弁当を作る卍里とカルタ。
そこに
肉そぼろで肉便器と書いた弁当。
これが本当の肉便器とかいってる蜻蛉。
やかましいわ。
んで、それを褒め称えるクロエ。
蜻蛉にべったり。
ふくれるカルタ
ずっと独り身だった父親に女の影が見えた娘の心境みたいですね。
花見のシートの上で凛々蝶に膝枕の残夏。
死刑ですね。
リハビリに未来を視る。
―――――――!?
残夏 「笑ってる・・・・・・もう一人の僕たち――――。」
それとこれは近い未来。
凛々蝶に子供ができて、元気な男の子。
双熾に似ていて、凛々蝶にべったりで。
残夏 「ちよたんの事大好きなんだね―――――」
凛々蝶 「・・・・・・・・!」
手紙に書かれていた彼の言葉。
「貴女の一部に生まれたかった―――――」
「そうすれば きっと 貴女の側に居れたのに」
僕らはまたきっと生まれる
出会える
いつかその日を胸を張って迎えられる様に
待とう
重ねていこう
これは―――――――
―――――――長い長い時間のお話
妖狐×僕SS 全11巻
おしまい。