乗り換え案内を調べると、『土・日・祝日』の登戸は、11時56分に快速電車の待ち合わせがあり、僕は待ち合わせした彼女に、

『快速で行こうか？』

と訊くと、

『各駅でいい。』

と答えたので、川崎まではのんびりと座って行くことになった。

途中、蕎麦屋に行こうという話になり、アプリコ近くの『増田屋』をGoogle Map で検索したものの、地図上からは実際の空間がイメージできなかった。武蔵小杉を過ぎ、尻手〈しって〉を過ぎると川崎は直ぐだった。東海道線は蒲田には停まらないので京浜東北線に乗ると、多摩川の鉄橋を渡って間もなく蒲田駅に着いた。

僕は一昨年蒲田に来たとき南口から出て、迷子？になりかけた記憶があったので、彼女を説得して東口から出た。エスカレーターを降りて車道に出ると、選挙もないのに政治家が演説していて一昨年の6月にボヘミアン・フィルハーモニックのコンサートに来たときのことを思い出した。横断歩道を渡って飲食店街に行くと、真っ先にパチンコ店があり、2軒隣に鮨屋があったので、彼女は

『ここにしようか？』

と言った。看板には『すし松』とあったので中に入ると、カウンター席が〈枠状〉に並んでいた。われわれは手前側の席に座り、『海鮮丼580円』を頼むと抹茶にお湯を注いで暫し寿司🍣が来るのを待った。

海鮮丼はそれなりの味で、彼女が

「あまり美味しくなかった。」

と言うので、僕が

「山葵着けた？」

と訊くと、

「着けなかった。」

と言ったから、

『山葵着けなかったからだよ。』

と僕は言った。

コンサートの入場時刻の14時15分まではまだ1時間近くあった。付近のマツモトキヨシで彼女がマスクを買った。大田区民ホール・アプリコの中には、マクドナルドとドトールコーヒーがあり、われわれはトイレに入り、その後マクドナルドでバニラシェイクとアイスコーヒーを頼んだ。案内された席の向かいには中国語を話すカップルがいて、何を話しているのかさっぱり分からなかったが席を立つと日本語で、

『ありがとうございました。』

と言ったので、僕と彼女は思わず顔を見合わせた。今回、僕が頼んだチケットは電子チケットで、スマートフォンにパスワードを5回間違えて入れるとチケットが無効になるという代物であり、これでトラブルが起こらないのが不思議だった。

僕は現実に一度パスワードを間違えて入力し、彼女に頼むも上手く行かず三度目で入力に成功した。旧・松竹蒲田撮影所のアプリコは2F〜4Fに大ホールがあり、指定された席は26列6番と7番だったので、われわれは電子チケットをスマートフォンで見せて、その後エスカレーターで3Fまで上がった。途中、プログラムとアンケートとチラシを受け取った。