古代ギリシア以来、「言語の意味は観念〈イデア〉である。」とされた。概念は何語で話されようと「背後にあるイデアは共通のもの」とされた。

プラトン哲学とアリストテレス哲学・論理学は2000年以上に亘って？ヨーロッパを支配して、少なくとも『論理学』が改められたのは、19世紀のゴットロープ・フレーゲに依ってからである。

その後、20世紀を代表する哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは、

『言語の意味は「使用」である。』

とした。これは、使われ方次第で『言語の意味はどうにでもなる。』との考え方であり、イデア〈＝アイデア、アイデンティティ〉即ち「同一性」の否定であり、

『プラトンの同一性主義・哲学が終焉した。』

ことを意味する。

同様のこと「同一のことではない」をフリードリヒ・ニーチェ、ジグムント・フロイト、アンリ・ベルクソンも考えていた。彼等は、

『同一性に対する差異の優位』

を意識的・無意識的に考えていたが、知識人の多くは依然として保守的で、

「哲学といえば同一性主義、そして自我・理性」

であった。

しかしながら、記号論の祖フェルディナンド・ソシュールや『存在と時間』はじめ数多くの哲学書を書いたマルティン・ハイデガーもまた『同一性の破壊者』であった。

因みに、僕が高校時代にムダに受けていた世界史の講義はほとんど、

「マルクス、史的弁証法・唯物史観」

であった。歴史ではなく、

「思想教育＝洗脳行為」

であった。

だから、柄谷行人とは全く異なる講義だった。

〈この項・続く〉

共産主義と社会主義・そして実在しない『ポスト構造主義』