こんばんは。
38回目、好きな本シリーズ「今日の一冊」第六弾!
これはこの好きな本シリーズの第2回でご案内した『信長の原理』(垣根涼介著)の姉妹本に当たるのかな?と思える作品ですね。


『光秀の定理(レンマ)』です。
発表されたのは、こちらの作品の方が先なので、こちらが“姉”になるのかな?
『信長の原理』と同じく、戦国武将の人生と数学のある法則を上手にリンクさせた内容で、これを書いてるときに、おそらく『信長の原理』の構想も生まれたのではないか?と思えるような内容です。『信長—』では“働き蟻の法則”が小説のキーでしたが、この『光秀—』では“モンティ・ホール問題”(確率論)が取り上げられています。
僕はこれについては何も知らなかったので、とても新鮮でした。

そして、この小説には主人公の明智光秀の他に2人の架空の人物が登場するのですが、その2人の存在が小説をとても魅力的で面白いものにしてくれています。
兵法者の新九郎と破壊僧の愚息……
史実至上主義の方はどう思われるのかわかりませんが、あくまでも“小説”だし、僕個人はこれくらいのエンタメ性があっても良いと思っています。
実際、著者も、その2人以外は基本、史実に忠実に書いていますし……
最後、光秀の死後、故郷に向かって旅をする愚息(と新九郎)が細川藤孝と対峙する場面があるのですが、新九郎の技量であれば、藤孝を斬ることは十分に可能だったはずですが、著者はそうはさせません。藤孝は関ヶ原の戦いにも参戦し石田三成とも戦っていますからね。
そして光秀が本能寺の変を起こした理由について新九郎と愚息が語り合う場面では架空の人物ならではの考察がなされ、この2人が実在したのでは?と錯覚するほど真実味が感じられるものとなっています。




ということで、本日はこの辺りで……
また、お会いできますように……