映画「必死剣 鳥刺し」を観た。


時代劇の巨匠、藤沢周平原作だから面白くないわけがない。


組織の中での不条理と正義を貫こうとする主人公。


彼は最愛の妻を亡くし、その妹が出戻りで仕える日本の原風景を偲ばせる宅内での奥ゆかしい礼法に則った所作。


現代社会の中に置かれて苦悩する我々日本人が、その心を映し出すことに喝采だ。


最後のシーンで、すべてを晴らせずとも、一定の達成感と、さらに続く悲哀の念で終わらせたところが、鋭い。


主演の豊川悦司はなかなか渋い演技ができている。

着物が似合う体にしようと役作りのため、何キロが体重を増やしたそうだ。


殺陣もなかなか見応えがあり、吉川晃司との立ち回りも上出来だ。


助演の池脇千鶴も童顔でキャスティングで考えるともう一歩と思うが、後半からはそのあどけない表情から深みが出る好演だ。


現代の組織の中での悲哀を知る現代サラリーマンに向けての共感マーケティングを実践している映画だと言えよう。


ぜひご覧になっては?