タイ国は死者まで出した


先週、タイのバンコクで開かれる予定のASEANの会議が中止となった。


タイ国が議長国として国際社会で威信を示す重要な位置づけの場を失なうという大失態。

デモを容認した形になってしまった現アピシット政権にとっては手痛い結果となった。


そもそもタクシン派勢力(民主市民連合=PAD)がデモをすることは当たり前で、わかりきったこと。

海外のG8主要国会議などでも最近グローバリズムに反対するなどしてデモは頻発する。


しかしながら、タイ国が今回のデモを制することを怠り、アジアの国際関係に寄与しなかったことは、自国の内政問題とは一線を画す話だ。


デモ隊がエキサイトして負傷者が数十人出て、さらには非常事態宣言により衝突で死者まで出してしまった。


タイ国は尊敬すべき国だったが


小生は、タイ国のこれまで長い歴史上でその時々の政治手腕について、一定の評価をしており、世界の中でも王政を取りつつも民主的合議により国体を維持してきたことに敬服している。また、国王は国民の厚い信頼の下、施政は行わずとも、時折り大儀あるお言葉を発せられるなど、戦後ズタズタにされた我が国と比べ、羨ましい国だとも思う国だ。


小生は昨年11月末にデモ隊が国際空港を占拠した際、対外的に迷惑をかけ、対内的にも経済的打撃となるような示威行動にピクニック気分で参加する民衆たちの姿勢とともに、警察、軍も本格的な武力制圧せずに対処したことも、民衆を尊重するタイ国の基本姿勢の表れで立派だと評価した。


(以前、ブログにも書いた)

 http://ameblo.jp/gcom-mura/entry-10173872109.html


会議開催はできたはず


ところが今回は会場入り口のガラスが破れ、会議場に大挙乱入する姿は暴力クーデターさながら。民主主義で保障されるデモとは、明らかに違う光景だ。現政権のアピシット首相はデモ隊を強制排除しなかったのだが、会場への進入制限はできたはず。そういう方法を取らなかったことは大失敗だ。


さらに、その後の一部暴徒化した輩が戦車に対して暴力的行為を働いている映像が流れたが、こういう行動は明らかに暴力であり犯罪だ。結果的に死者まで出ている。


タクシンは大丈夫か?


タクシンは外国から、今こそ革命を、などと発言し煽っているが、完全なお門違いだ。

冷ややかに見れば、政権転覆を狙うタクシンは利権(つまりグローバル化の中でのお金と権力)を支配しようとすることが本音で汚職の犯罪をチャラにして、政権を勝ち取ろうという風にも見受けられる。


もし、タクシンが帰国して政権を取る日がきても海外の信頼回復は厳しいのではないだろうか?国際社会の評価を理解できない人物として、そっぽを向かれても仕方ないかもしれない。しかし政治家たるもの、その時には何らか上手い言い訳、言い逃れをするのだろうが、少なくともASEANのリーダーとなるには遠い。


・・・ああ、アジアの憂鬱


デモと暴力は完全に違う。

暴力からは正しいことは生まれない!


ガンジーを見よ!マーティン・ルーサー・キング牧師を見よ!


非暴力こそ、人間社会における最高の力と信じたい。