タイの民衆による空港占拠が終息した。

民衆デモから、11月25日にはバンコク国際空港(スワンナプーム空港)占拠という作戦行動をとり、一昨日民主的に終息した。


タイは、ひょっとしたら世界で一番立派な民主政治が行われているかもしれない。


世界への窓口である国際空港となれば、独裁国家ならば死人が多少出ても武力を持って強制排除する。民主国家でも警察権力が実力行使で排除する。軍が出るかどうかは、占拠した者たちが武装しているかで出動するかを検討するところだろう。


タイは一連のデモでの首相府占拠で警官隊との衝突後、死傷者が出て即刻、武力を用いないことを徹底させた。

だから空港占拠した人たちは和やかに笑顔でいるし、のんびりムード。ピクニックかレジャー気分で楽しんでいるかのような顔も多く見受けられた。


日本の報道では、「反政府勢力」というが、何か過激派のような印象だ。実際は反与党団体、もしくは野党とでも言っていいのだろう。一連のデモ、空港占拠という行動をとった民主市民連合(PAD)は元バンコク知事のチャムロンさんがリーダーのれっきとした政治団体だ。反タクシン派政治団体と言えば、直球ストライクな表現かも。


ニュース映像に写る空港占拠デモ参加者たちは黄色のTシャツ着用。これはタイ王朝のシンボルカラーだ。(確かカナリヤの色)つまり政治は政治家に委ねられるが、国王はすべての人から尊敬されており、国民がその敬意を表しているものだ。


12月4日、プミポン国王が5日に81歳をお迎えになることで記念の演説を行う予定だったのが、健康不良のため中止された。今回の政局に対し、演説を政治利用されたくないとか憶測もあるが、政治は民主主義を貫く姿勢に変わりないはず。

タクシン派のソムチャイ首相は司法が連立与党解党命令を出したことにより失職したり、警察長官など要職の政治家が辞任したりして、平和的に解決していこうとする。不安定な政局であっても、タイの政治は大人の政治だ。今後の与党で首相後継選びは難航するだろうが、デモの結果による影響は必至だ。いいじゃないか、民主主義。デモをする権利があるんだから。


ところがこんなことがあると、またまたテレビは情けない。

テレビのニュースの中で流れた、取材を受けた日本人旅行者(多分30才前後、正にアラサーか)のコメント。

曰く「こんな困ったことをして、結局は経済的に自分たちの首を絞めることになる」と訝しく言ったこの大馬鹿者。これを流すおバカテレビ局。まったく呆れた。


経済的にダメージを受けるだと?そんなことが百も承知でいて、世界の目に訴え、もちろん経済的にダメージが出るから、この占拠なのだ。それほど政治が大事だから国際空港の占拠という行動に出たのだ。



政治が国民のものであって、民主主義ができることはこういうことだとお手本を示すタイに対して、失礼極まりない。民主主義といっても、政治後進国の日本人、日本の放送局(ニュースデスク)の質が垣間見れて、恥ずかしくなる。


別の視点では・・・

そもそも外国人が入出国できるかどうかはタイ国が決めること。その国際間の取り決めの基、安全に旅行できるというだけのこと。

この旅行者は、海外への入出国を、日本の国内で旅館に泊まるほどのこととしか思ってないのだろう。旅館の女将のやり方に不満を持った従業員がストライキして休業しているのと同様、ぐらいの視点しか持っていない。

こんなコメント言う奴も情けないが、それ以上にそれを全国放送に乗せる、知性のない放送局。タイ国家への冒冒涜罪で訴えられても文句を言えないのでは?と思ったりもする。


振り返って日本の民主主義は・・・


ああ、情けなや・・・