ブログで飲食店が広告費を使わずにリピーター獲得策の秘訣は・・・
・・・と触れたら読者から直接質問を受けたので、入り口の話を書いてみよう。
http://ameblo.jp/gcom-mura/day-20080329.html
食文化の都。激戦地である福岡で真剣に戦うにはやるべきことがある。
最初の入り口は・・・
飲食店舗の三大要素「MMS」 今回のテーマはこれ。
1.店 2.メニュー(商品) 3.サービス(接客) この三つの組み立てを考える。
これがコンセプトとして押さえられれば、相当レベルは上がる。
■マックでは
飲食業界のガリバー、マクドナルドでは基本ポリシーを、QSC(Quality =高品質、Service=サービス、Cleanliness=クレンリネス)三大要素に加え、+V(Value=バリュー)という言葉で、基本ポリシーを説明している。
これが有名な QSC+V 。
ただし、食文化の豊かな日本の関係者がこれに対し、マックはジャンクフードなのに、日本にあって何がQualityだ、と受け容れない人がいることも事実。ビジネスモデルとして見ればQでも、販売商品は違うという見方も頷けよう。
つまり、マックのQSC+V の考え方はすべてを均質化して徹底させるアメリカ型のビッグビジネスだから、参考にはなっても、他の飲食業態にビタッと来ると思えない側面もある。
■わかりやすい理論構築 「MMS」
筆者は飲食業全般において、理解を得やすいように三大要素でひも解いている。
これは小生のオリジナルの論法だ。(当然、著作権の範囲内だ)
1.店舗 (ハードウェア) ・・・M(みせ)
立地、外観、看板(デザイン含む)、建築・内装(レイアウトデザイン、席数)、照明、音、什器備品、清掃状況など
・・・目に入るハードウェアすべて
2.メニュー (食べ物、飲み物) ・・・M(メニュー)
・・・美味しい物(材料、調理法)、器、盛り付け⇔メニュー点数、プライシング、価格対比バランスやプライスゾーン構成なども含む
3.サービス (人的対応、企画) ・・・S(サービス)
・・・接客(接客技術、話法、アクション)、おすすめや鮮度ある企画、話題性ある対応など
この三大要素にオーナー(orオーナー企業)のこだわりをどう具現化するかの議論を深めて、店舗コンセプトを明快な言葉で表現すると同時に、三大要素の具体策を計画書にまとめる。
■手順の考え方
店舗開発なり、店舗リニュアルなり、コンサルティングやプロデュースに当たっては、マーケティングの4Pは置いといて、3Cですり合わせながら、ここから入っていく。
4Pでいうところのプロモーションは一旦はずしておいて、この三大要素がしっかり考えられた店作りが何よりも先決の課題だ。
事業計画書を作成する必要がある際には、マーケティングの 4P & 3C とのすり合わせが必要。
(リニューアルの場合はあまり必要が無い場合もあるが、コンセプトの見直しや上記三つの項目見直しは必ず通るべき課題だ)
特に、メインターゲット(分解して、コアターゲットとサブターゲットで絞る)と客単価、客数、といった収支計画に直結するデータを押さえる必要がある。
■意思決定関係者の共通理解を図るために
三大要素を文書化するところまで行けば、オーナー(または開発管理責任者)から、内部スタッフから外部業者(建築・内装・資材・広告など)に至るまで根本理解が及び、解釈のブレ幅を小さくできる。
コンセプトと三大要素の指針が出来る段階では、ビジュアル資料としてイメージコラージュなどを使う。
また関係者の共通の理解が深まるために、すでに営業している既存店のいくつかを示し、A店のこんなところ、B店のこんなところ、C店の・・・・・・・・・・と羅列して、一緒に視察したり、見てもらうように促したりする。
関係者がこのような理解と動きをすることによって、既存繁盛店の分析も、ある程度オーナーや関係者が見えてくるようになり、コンセプトプランニングも共通理解が得やすくなってくる。
福岡を代表する割烹の一つである「てら岡」は複合する要素を色々高めた優良店だ。
先ずは頭を使うこと。
そのポイントは「MMS」 1.店 2.メニュー(商品) 3.サービス(接客)
・・・といっても、考えようとすれば無限のアイデア。
■アイデアの具体化
例えば、メニュー数が150点を越え、素晴らしい器、クリエイティブな盛り付け、日替わりのオススメや、週単位でのメニュー部分変更などもある。接客面ではマニュアル向上や研修ロールプレイの徹底化やアドリブトークまでも高める研修育成もあるだろう。
しかし一方で、極端に何もしない、とか徹底した省力化を目指すと決めることもある。
極論だが、メニューはたった8品だけ。とか、
店舗ハードの老朽化が著しくても修理改装もせずにそのまま。ただし清掃・衛生管理は行き届いてる。とか、
接客要素を最小限に押さえ込んで、券売機、受付カウンターでセルフサービスや、立ち食い、立ち飲みなどの、やり方だってある。
■飲食は文化だ。
飲食は文化であり、その企業・オーナーは文化の一翼を担っているという気構えが必要だ。
店舗開発をサービス業の総合芸術だという発想から取り組んでも面白い。
そこには「こだわり」と「継続できるビジネス」ということでチャレンジしなければならないが。
ただし、多店舗展開と単独店は根本から違うので、それはコンセプトメイキングの時点で、よく揉んでおく必要がある。
(以下、好例)
「玄品ふぐ」 の厚切り刺身を「てっさ」として提供 ふぐ唐揚げ
玄品ふぐ はふぐを養殖し、店舗をチェーン化。板前の職人芸の領域を取り外し、素人でもふぐを捌いて提供するスタイルを開発した。日本の料理職人の芸術的な超薄切りのふぐ刺しはここでは出さない。
写真はベトナム料理「ベトナムフロッグ」の生春巻き ホテルセントラーザのコース料理より
商品以外の花や器が価値観を高める 美しい、かわいい盛り付け
フレンチの店「花りん」の壁面ディスプレイ。なかなかシック。
豚屋小野の名物豚カルビ焼。カウンター越しに焼き場を見せ、客にはさみで切らせる提供法でウケている。
ユニークな店舗展開を進める小野グループは福岡の飲食業界で注目される。
http://ono-group.com/
本日はここまで。
このテーマは以降、不定期に続く。(続かないかも・・・)
(今日の一杯を飲む前にブログで仕事的エネルギーを使ったから、今日は上手さも格別だろう)