すでにポスト・ブッシュの世界が動き始めている!


このところ中国のチベット騒乱に対する話題で世界が揺れているが、ホワイトハウスの発表によれば、

ブッシュ大統領は26日、中国の胡錦濤国家主席と電話で会談し、ダライラマとの対話を促したそうだ。


(もちろん、その場で胡錦濤が聞き入れるわけはないし、サダム・フセイン独裁からの解放戦争終結後もなおイラクに居座るアメリカも矛盾点を突かれると痛し痒しの面もあろうが、世界のテロ犯罪防止と人権擁護という大義の元で他国に侵入して武力行使ができるオールマイティを持つ立場から、世界に向けたパフォーマンスと取れないこともないが)


マケインの猛チャージ!

ところが同じ26日、アメリカ大統領選の共和党候補として確定しているマケイン上院議員は、サミット(主要国首脳会議)の構成について、ロシアを外し、インドとブラジルを加える案を提唱した。

・・・これは、ものすごいこと!


現在、民主党はヒラリーとオバマの一騎打ちで盛り上がっているが、ビジュアルで見ると女性と黒人。両方とも初の○○大統領と言えて話題性は高い。だからテレビでの露出も二人が圧倒的に出っ放しで、70過ぎのおじいちゃんは、チラッとしか出てこない。


しかし、アメリカという国はそもそも実利を厳しく追及する人々によって作られ経営される人工国家だから、その政治の進路としては平和で安穏とした時代であるならまだしも、ドルの危機やエネルギー、食料利権の危機など中国やロシアなど独裁国家の台頭による将来不安が高まれば、一気に共和党が舵を取らねばならない必然性が高まってきたと筆者は考える。


アメリカは覇権主義を転換できない

911、イラク解放(占領)後のネクストドアは民主党に開かれる道筋だったかもしれないが、そんな悠長なことを言えない時代を迎えている。

マケインはすでに昨年暮れあたりから、安全保障の問題を提起している。

経済危機は安全保障の活動により、吹っ飛ばせるという考えは、アメリカの保守本流の根っこにある考え方だから、世界の情勢が不安に向かえばアメリカの選択は、71歳の高齢とは言え、マケインの出番になる。


そのマケインが、サミットでロシア外しを訴えたとは、中国にとっても当のロシアにとってもセンセーショナルなことだ。中国は上手に手綱を引いて繋がっておき、一方ではロシアと対立構図を作る。インド、ブラジルを仲間に引き入れる。

実に巧みな戦略だ。

このようなプレッシャーこそ、外交の長けた責任ある国家のすることだと、心底感心してしまう。


揺さぶられる中国

中国はアメリカを筆頭とする西側勢力に対抗する意図で、上海協力機構(中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンで構成。今月24日イランも加盟申請を表明)を提唱し、地域の安全保障を強化しようとしているが、マケインの揺さぶりに対し熟慮した対応を取らねばならず、マケインが大統領候補である時間の中では静観するだろう。


一流の外交戦術、アメリカ

外交ウォッチャーとしては面白い展開といえるのだが、世界情勢の中で各国の生命線である経済と安全保障について、このようなアメリカの凄さは計り知れない。


安全ボケ、外交オンチの日本は、アメリカに貢ぐ代わりに、安全保障も委ね続けるしかないのか。

この美しい豊かな精神文化を持つ日本は未だアメリカに占領された自治領のままなのか。

(日本はイラクモデルと体制は同質かも。わが国民族が従順だから反乱が起きないだけか)


ポスト・ブッシュの動きをじっくり研究し、アメリカと同調しつつも、一方で自国のアイデンティティを高めながら、真の独立国家としてアジア、世界での役割を担うような動きは取れないものかと、、、(嘆)



写真は、北京で建設中のビル(筆者が先月2月撮影)

オリンピックを前に都市建設が進む中、空気はかすんでいる。


http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2328523/2471136

現代版「ピサの斜塔」? 北京に世界一先進的なオフィスビル建設中(記事あり↑)

今回珍しく外交ネタに踏み込んでしまった。

次回はまたプラス思考、ポジティブネタを探そうっと!