馬は立って眠ると聞きましたが、横になって眠らないのですか?また馬も眠っているときに夢をみますか?
馬は立って眠ることができますし、横になって眠ることもあります。また、横になって眠っているときに、夢を見る馬もいるようです。
私たち人間にとって、立ったまま眠るのは至難のわざです。眠りに落ちると全身の筋肉の力が抜けるため、立ってはいられなくなるからです。ところが馬は、眠りに落ちて筋肉の力が抜けても、そのまま立っていることができます。馬の四本の脚の関節は、骨と骨をつないでいる靱帯(じんたい)でしっかり固定されており、スッと眠りに引き込まれても決してひざがガクンとしたりはしないのです。
とはいえ、深い眠りにつくためには、やはり馬も横になる必要があります。ただし馬が横になる時間は1日3時間程度しかありません。しかも、この眠りは断続的で、15分ほど横になっては立ち上がるということを繰り返しながら一晩を過ごしています。
睡眠時間が馬と同じくらい短い動物としてはゾウ、ウシ、ヒツジがあげられます。これらの動物には、比較的大型で肉食獣に襲われる危険のある草食動物というの共通点があります。体が大きいため、すっかり身を隠せる安全な場所を見つけるのは難しい動物たちです。
同じように肉食獣に襲われる危険のある動物でも、ネズミなどは1日13時間は眠ります。ネズミは体が小さいため身を隠せる安全なねぐらをどこにでも見つけることができるので、安心して熟睡するというわけです。
さて夢についてですが、馬は横になってすっかり頚(くび)を投げ出して眠るときがあります。このときの脳波は、人のレム睡眠と呼ばれる眠りの際の脳波によく似ています。レム睡眠のとき、人は夢を見ていることが知られています。実際、馬でも、こうした姿勢で眠っているときに、突然いなないたり四肢をばたつかせたりすることが観察されています。馬はレースに出走している夢を見ているのかもしれません。
(2007年11月17日放送)