秋華賞は牝馬だけしか出走できないそうですが、牡馬だけしか出走できないレースはあるのでしょうか? | AR  KITCHEN 教えて!馬学の時間

秋華賞は牝馬だけしか出走できないそうですが、牡馬だけしか出走できないレースはあるのでしょうか?


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 出走が牝馬に限定されるレースは、秋華賞の他にも、来月行われるエリザベス女王杯や、春の桜花賞、オークスなどたくさんあります。これに対して、牡馬だけしか出走できないレース、すなわち牡馬(ぼば)限定レースは、JRAの競走にはありません。皐月賞、ダービー、菊花賞、どのレースでも牝馬の挑戦は許されています。

3歳以降の競馬では、牝馬は牡馬より2キログラム負担重量が軽減されます。たとえば、ダービーでは牡馬が背にする重さは騎手も含めて57キロに対して、牝馬が負担するのは55キロです。牝馬は負担重量を2キロおまけしてもらうわけですが、この差が必ずしも牝馬に有利とはならないのは、ウォッカによるダービー制覇が、牝馬としては64年ぶりという事実からも明らかでしょう。


性差4

 一般的に、人も含めて哺乳動物のメスは、オスに比べて走能力や跳躍力は劣ります。その典型は人の陸上競技ですが、100メートル競走でもマラソンでも、男子の世界記録は女子をはるかに上回ります。


性差2

こうした動物のオスとメスの運動能力の違いの原因は、体のさまざまな部分の違いにあります。

まずパワーを生み出す筋肉ですが、メスに比べてオスのほうがはるかに多くの筋肉が体についています。一方、メスの筋肉の細胞はオスに比べて多くの水分を含んでおり、力強さに欠けます。

また、メスの心臓は小さく、血液の量も少ないのですが、このことは、オスに比べてメスのほうが持久力が劣るという結果につながります。


性差3

もっともこうしたオスとメスの体の違いは、若いうちはそれほど目立ちません。

 動物には成長の途中で性ホルモンの分泌が急にさかんになる時期があります。もっぱらオスは男性ホルモンの作用で、またメスは女性ホルモンの作用で、今言ったオスとメスとの体の違いが目立ち始めます。そうした体の構造上の違いは、サラブレッドでは2歳の秋を過ぎたころから、運動能力の差として明らかになってきます。そこで競馬では2歳の10月から、負担重量にオスとメスの間で差をつけ始めます。

(2007年10月20日放送)