白毛と芦毛の違いは? | AR  KITCHEN 教えて!馬学の時間

白毛と芦毛の違いは?


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ホワイトベッセルが今年の4月に、白毛(しろげ)のサラブレッドとしてはJRAで初の勝利をかざりました。

白毛という毛色(もうしょく)は、きわめて珍しい毛色で、世界的には古くから知られていたものの、日本で白毛の馬の誕生が初めて確認されたのは1979年のことです。このとき生まれたのは、ハクタイユーという馬ですが、以後現在までに日本では16頭の白毛の馬が生産されています。

 白毛のサラブレッドは、ほぼ全身が白い毛で覆われています。同じように白く見みえる毛色として、芦毛があげられますが、芦毛の馬が、生まれたときは青毛や鹿毛などの色合いで、年をとるに従ってだんだん白くなっていくのに対し、白毛の馬は生まれたときから全身が真っ白な点が異なります。また体毛の下にかくれた地肌の色は、芦毛は黒かそれに近い色であるのに対して、白毛はピンク色をしています。さらに白毛には、サラブレッドでは珍しい青い瞳を持った馬もいます。


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 栗毛、鹿毛、青毛など、白毛以外のサラブレッドの毛色の遺伝様式、すなわちどういうかけあわせをすればどういう毛色の子馬が生まれる可能性があるかはわかっています。しかし白毛の馬は、まだ数が少ないということもあって、遺伝様式は完全には解明されていません。

白毛は体が弱いとする向きもあるようですが、必ずしもそういった証拠はありません。白毛が生まれる原因となっている遺伝子を両親から同時に受け継ぐと、胎児のときに死んだり、出生直後に死亡することから、白毛は体が弱いという誤解が生じたものと思われます。

 白毛は、メラニン色素を産生させる遺伝子の一部に突然変異が生じたものと考えられています。そうした遺伝子を片方の親から受け継いだ馬でも、正常に成長すれば、メラニン色素が産生されない点以外、今回勝ち馬となったホワイトベッセルの例からもわかるように、能力的には普通のサラブレッドと変わらないと考えられます。


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(2007年6月16日放送)