馬の汗はなぜ白い? | AR  KITCHEN 教えて!馬学の時間

馬の汗はなぜ白い?

競馬を走り終えて戻ってきた馬の股間や頸が、粉を吹いたように白くなっていることがあります。あの白い物質は、粉ではなく、実は競走馬の汗なのです。ただし、馬が白い色のついた汗を流しているわけではありません。汗をかいた皮膚同士がこすれあったり、手綱でこすれたりしてできた細かい汗の泡が、あのように白く見えているのです。

馬の汗にはラセリンという物質が多く含まれています。ラセリンには界面活性作用、すなわち石鹸と同様の作用があります。つまり馬の汗は泡立ちやすい性質を、もともと持っているのです。

人でも馬でも走れば体があつくなります。これは筋肉の活動によって大量の熱が発生するからです。この熱を逃すために、馬は大量の汗をかきます。皮膚から汗が蒸発するときに熱を奪う作用を利用して体温を下げているのです。馬は、全身をいわばラジエーターとして体温調節をしているといえます。

汗


汗による体温調節を、より一層効率よくしているのが、馬の汗に含まれるラセリンです。ラセリンは石鹸と同じように、水を油と混じりあうようにする性質があります。馬は全身が短い毛でおおわれていますが、馬の汗にラセリンが含まれているおかげで、汗は毛のすきまを通って全身に広がりやすくなっているのです。

走ることで発生した熱を効率よく下げることで持久力は向上します。白い汗は、サラブレッドが長い距離を速いスピードで走りつづけられる秘密の一つといえるのです。

(2007年5月19日放送)