術後4日目からは術後イレウス(腸閉塞)との闘いが始まりました。
はじめは喉の不快感からの嘔吐でした。嘔吐物が胃液だけで透明に近い場合は心配する必要はないのですが、嘔吐物の色が黒っぽくなってきたら要注意です。黒っぽいのは小腸から分泌される腸液で、イレウスになると腸液を嘔吐してしまうのです。
術後3日目に初めて嘔吐したときは胃液だけで、しかもガスもお通じもある状態だったので、イレウスの心配はしていませんでした。しかし、その翌日になると嘔吐の回数が増え、嘔吐物はすっかり黒っぽくなって量も増えました。加えてガスもお通じもピタリと止んでいてお腹が張っています。
「鼻から管を入れましょう」
術後4日目の夜、処置室に連れていかれ、看護師さんによって胃管が挿入されました。胃管は胃のなかに管を留置して、胃の内容物を吸い出すためのものです。これでイレウスが改善すればオッケー、改善されなければ今度はイレウス管(胃管よりも太くて硬く、鼻から小腸まで入れて留置する管)を挿入することになります。
また、この間にCT検査でイレウスであることが確定しました。
「もっと奥まで入る管に入れ換えましょう」
残念ながら胃管では改善せず、術後7日目にイレウス管を入れることになってしまいました。イレウス管を入れるときの苦しみは、入れたことがあればみなさんご存知でしょうが、本当にキツかったです。
「入るまでどれくらい時間かかりますか?」
「うーん、15分くらいかな」
結局1時間近くかかったそうです(自分では時間の感覚が分からず、後で看護師さんに聞きました)。最後は寝不足が祟っていた体にまったく力が入らなくなり、息を吸ったり吐いたりがコントロールできなくなったところで終了です。頭からの大量の汗、目から溢れ出る涙、途中仰向けの状態での嘔吐も何回かありました。それでも処置は止まりません。拷問を受ける人の気持ちがちょっとだけわかった気がしました。
「本当はあと40センチくらい入れたかったんだけどね~」
「…。(死ぬわ!)」
胃管にしろイレウス管にしろ、入れることでお腹の内容物(主に腸液)が体外に排出され、腸にパンパンに掛かっている圧力を減らす働きがあります。減圧されることで腸が正常に動くようになる仕組みだそうです。
イレウス管留置後は順調に腸液が排出され始めました。留置して3日目にはお腹が動きだし、お通じが出始めました。お通じがコンスタントに出るようになるとイレウス管からの腸液が減少していきました。留置6日目には、最初2リットル/日だったのが、200CC/日まで減少しました。
そして今日、イレウス管留置8日目、ようやくイレウス管から解放されました~!!!!!!
ありがとうございます!(なにが?(笑))
抜くときもちょっと怖かったんですが、先生にゆっくりゆっくり引き抜いてもらって、鼻の奥はかなり痛かったものの1~2分で引き抜き完了でした。解放されて1発目はおもいっきりチーン!と鼻をかんでやりましたよ。ザマーミロって感じですよ。(だからなにが?(笑))
先ほどシャワーも浴びて、鼻の頭と左のほっぺはテープでかぶれて赤いのですが、本当にさっぱり爽やか気持ちの良い状態です。
明日か明後日から流動食が始まります。ここからは退院に向けてどんどん体調が上がってくると思います。退院日はまだ未定ですが、確実に近づきつつあります。それでも油断せずにいきますけどね。
イレウスと呼ぶのか腸閉塞と呼ぶのか、厳密にはその病態により区別されるそうですが、とりあえず言いやすいのでイレウスとしました。
そもそも今回の手術、横行結腸の狭窄を取り除いてイレウスを予防するのが大きな目的だったのですが、その結果イレウスになるって何?って感じですよね。が、今回なってしまったのは術後合併症としてのイレウスで、狭窄が原因のイレウス(こっちを腸閉塞と呼ぶらしい)とは別物なんですよね。世間のイレウスの大半は術後合併症として発症するようで、今回僕はまんまとその時流に乗っかってしまったというわけですね。ちなみに合併症リスクが小さい腹腔鏡手術で術後イレウスになるのはまれだそうです。。。
入院7日目(術後4日目)
腸液を嘔吐するようになり胃管を挿入、留置開始。
入院8日目(術後5日目)
CT検査(造影剤なし)により、イレウス確定。
入院10日目(術後7日目)
胃管では改善が見られないため、胃管に代えてイレウス管の挿入、留置開始。イレウス解除までひたすら「待つ」しかない状況。
入院12日目(術後9日目)
お通じが出始める。腸が動き出した。
~入院16日目(術後13日目)
排出液が順調に減っていく。お通じも順調、お腹の張りもなくなる。→イレウスの解除を確認。
入院17日目(術後14日目)※今日です。
イレウス管が抜ける。やったね。
次回は退院後の更新になっちゃいますかね~へへへ。
それではみなさんお元気で~。