鬱状態あるいは慢性疲労症候群と診断されてきた単純ヘルペス感染症の1例 | gcc01474のブログ

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 鬱状態あるいは慢性疲労症候群と診断されてきた単純ヘルペス感染症の1例
                                   

 半年以上も前より激しい全身倦怠感などに悩まされ鬱状態あるいは慢性疲労症候群と診断されてきた単純ヘルペス2型感染症の1男性例を提示する。
 平成11年3月、直径8mm ほどの水疱が体全体にできたが痛みも痒みもなく、また発熱などもなく、病院へも行かず、クスリも使用せず、2カ月ほどで自然と消退した。
 平成11年5月、週末には毎週のように帰っていた180kmほど離れたところにあり、いつもクルマで3時間半ほどで帰っている実家にいつものようにクルマを運転して帰っていたところ、50kmほど運転したところでどうしようもない倦怠感に襲われ、このままクルマを運転して実家まで帰ることは不可能と判断し、クルマを空き地に停め、30分ほど仮眠を取った後、アパートまで戻る。そして同じことが次の週末にも起こる。
 年齢は37歳。未だ独身である。元々、頑健であり、仕事熱心でもあり、また宗教活動も盛んに行っており、一日4時間に満たない睡眠を長年続けてきたほどであった。それが一日10時間近くの睡眠でも全身倦怠感のため朝起きることができず、休みの日は一日中、寝ている状態となった。
 発熱は僅かしか見られず(以前の平熱より0、5度高いのみであった)、炎症反応も僅かに上昇しているのみであった。軽い咽頭炎も続いていた。そのため、風邪が半年以上長引いているのではないかと会社の上司・同僚(ある同僚は『燃え尽き症候群』と言っていた)から言われ、またある上司はこれはストレスから来ているのではないかと配置転換も考えてくれたが患者自身ストレスは感じておらず、配置転換を断る。また心療内科受診を強く勧められることも何回もあったが患者自身やはりストレスは感じておらず、受診せず。患者自身、インターネットや医学の本を読んだりして、慢性疲労症候群ではないかと考えていた。『走って治す。玄米自然食で治す。』と患者自身が10年来行ってきた玄米自然食と2日に1度ほどの深夜の1時間近くにわたるジョギングを続けたが、ジョギングは強い疲労感のため欠かしがちであり、また以前軽く40分で走っていたコースを1時間近くで走るのがやっととなっていた。やがてジョギングを中止する。近所の小規模の医院を2カ所受診し、血液検査などを行ったが、原因は分からず、結局2つの医院でも同じく『喉頭炎および軽い鬱状態』の診断のみであった。
 ほとんど毎日のような遅刻が1カ月以上前より続き、また1週間ほど前より暑くもないのに寝汗を朝シャワーを浴びなければならないほど多量に掴くことに気付き、またその寝汗が一日一日強くなっていることに気付き、平成11年12月、筆者の元を受診。鬱傾向は認められず。この患者はある宗教の熱心な信者であり、その強い信仰心が、本来なら鬱状態に陥るはずの厳しい状況に於いても鬱状態に陥らなかったものと思われる。

【検査結果】
(平成11年12月18日採血分)
 単純ヘルペス1型の抗体価512倍[NT法](再検済み)。単純ヘルペス2型、水痘・帯状ヘルペス、トキコプラズマ、マイコプラズマ、HTLV-1、HlV、アデノウイルス、以上検査した範囲内のすべての抗体価陰性。また腫瘍マーカーも検査した範囲内は(CEA、SCC、PA 、A FP、SLX)すべて正常範囲内。

【考察】
 この患者はある宗教の熱心な信者であり、それを心の支えに生きてきた。その宗教への没頭の故、鬱傾向は見られないものと判断した。
 この症例から慢性疲労症候群および慢性疲労症候群類似症状、また鬱状態に対して、少なくとも単純ヘルペスの抗体価などの検査の必要性がある、と推測する。
 またこれは確かに特殊例と思われるが、不安障害、気分障害、分裂症などに単純ヘルペスウイルスによる可能性を考慮し、その抗体価などの測定が必要と信じる。

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