O-ringによる漢方方剤の決定 | gcc01474のブログ

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【原著】original article

O-ringによる漢方方剤の決定
                              


 漢方方剤を決定するとき、0-リングテスト(以下、“O-ring”と略する)は非常に有効な方法であることは広く知られている。しかし、その使用法は混沌としており、有効性の低い使用法が頻用されている。
筆者は被験者をベットに横たえさせ、腹部に漢方を乗せ O-ringを行っている。その正確度は極めて高い。症例を交えて報告する。

【key words】O-ring, kampo, herbal medicine

【方法】
 筆者は始めは片方の手に漢方方剤を握らせる方法を採った。しかしこの方法では余分な力が入ってしまい、うまく行かなかった。そのため片方の手の平に乗せるだけの方法を始めた。しかしそれでも被験者が意識してしまい、うまく行かなかった。できる限り被験者をリラックスさせることが重要であることに気付いた。そのため今度は被験者に目を瞑らせ片方の手の平に漢方方剤を乗せて施行した。正確度は増加したが、目を閉じることに被験者が力を入れてしまう。そのため目にマスクをして行うようにした。更に正確度は増加したが、手の平に乗せるとどうしても力が入ってしまう。そのため手の裏側に漢方方剤を乗せるようにした。正確度は更に向上したが長い時間の施行に被験者が疲労する。被験者は病人であるため疲れを招く方法は中止し、被験者をベットに横たえさせて行うようにした。またこの方法を始めて被験者の協力性も向上した。
 方剤はすべてツムラ漢方エキス顆粒を用いた。それらはアルミの袋の中に入っている一般に最も頻繁に用いられているものであり、そのアルミの袋の中に入れたまま用いる。アルミの袋から取り出し薄い紙の袋の中に入れ直しても正確度が高くなることはなかった。アルミの袋が3個繋がったもの(すなわち一日分の量)を頻用している。それが3個でなく2個になっても正確度が低下することは少ないが、それが1個になると被験者により異なるが、正確度は低下する。よって3個繋がったものを用いている。
 O-ring を被験者の右手で行うならば被験者の右側に位置し、また方剤は被験者の腹部の中央に置く。経絡の流れから考えると右手で行うならば腹部の右側寄りに置いた方が効果的に思えるが、右側寄りに置いても正確度は高くならない。反対に左側寄りに置いても正確度は低くならない。
 また、一人で行う場合は、膝の上の東洋医学で言うところの“血海”の辺りに検査する方剤を置き、O-ring を行う(これを左側に置くか右側に置くかは結果に全く関係しない)。
 
【症例】
(症例)男性。昭和58年3月29日生まれ。野上00。2年前より頭痛有り。このとき目がボーッとする。これは午前中に多い。高校受験が迫っている。試験中にこうなるのではないかと心配である。頭痛は疲労が有るときに多い。運動した後に多い。早退するのは午前中ばかりである。頭痛時、処方された呉茱萸湯を飲んだら3時間ほど眠ることができる(初診時、呉茱萸湯を処方した)。両下腿を触診すると右下腿上部に硬桔有り。左下腿には硬桔は無し。母親は外見上、中間証。子は外見上、やや虚証。平成10年2月28日、O-ring 施行。小青竜湯、甘麦大棗湯、大柴胡湯、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、川きゅう茶調散、桂枝加朮附湯、防風通聖散、黄連解毒湯、半夏白朮天麻湯、八味地黄丸の順。小青竜湯は圧倒的に良く反応した。小青竜湯を 3 pack/day 処方。

(症例)男性。昭和57年10月1日生まれ。西山00。1週間前から、昼の12時ぐらいになると左睫の上の周辺に鈍痛が起こる。この痛みは3時ぐらいまで続く。耐えられないような痛みではない。頭部CT上、左後頭部に中隔に密着した小さな脂肪腫らしきものあり。最近、ストレスになるようなことは思いつかない、という。神経質な傾向無し。平成10年4月11日、O-ring 施行。川茶調散、甘麦大棗湯、酸棗仁湯、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、越婢加朮湯、防風通聖散、よく苡仁湯、柴胡桂枝湯、大柴胡湯、呉茱萸湯、抑肝散加陳皮半夏、抑肝散、黄連解毒湯、防已黄義湯、八味地黄丸、牛車腎気丸、釣籐散、麻黄附子細辛湯、葛根湯の順。川茶調散と甘麦大棗湯を 2 pack/day ずつ処方。

(症例)女性。昭和52年10月12日生まれ。山崎00。昨日、筆記試験の始まる直前、全身硬直発作出現。意識も消失する。今までに痙攣発作は高校の頃と小学生の頃に1回ずつ有るが、小学生の頃のは意識消失もなく、軽い痙攣発作であった、と言う。頭部CT上、異常なし。
 平成10年1月24日午前11時、O-ring 施行。柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝茯苓丸、女神散、加味逍遥散、八味地黄丸、半夏厚朴湯の順。柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝茯苓丸、女神散は僅差であった。柴胡加竜骨牡蛎湯を処方。

(症例)男性。昭和51年11月1日生まれ。7カ月ほど仕事をしていない。自宅に閉居している。少なくとも8カ月ほど前に発症した精神分裂病。自発性低下。トラックの運転手をしていた。
 平成10年1月5日午後4時半、O-ring 施行。川きゅう茶調散、抑肝散加陳皮半夏、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散、帰脾湯、補中益気湯の順。川きゅう茶調散を処方。しかし風邪気味であった可能性もあるため、抑肝散加陳皮半夏を処方すべきだったと思われる。外見上、色白、痩せ型で虚証。

(症例)女性。昭和49年11月12日生まれ。力丸00。23歳、社会人。平成10年1月23日、会社の同僚と酒を飲んでいて頭部を強く打ち、来院。頭部CTおよび頚椎単純X線撮影を施行するも異常なし。5日後の28日、左耳後部に直径8mmほどの腱のようなものが走っているのを訴えて来院。この部分が痛むという。2日前(26日)と本日、嘔吐があった。神経学的検査上、やや腱反射が昂進しているものの異常はない。少し風邪気味である。しかし鼻水が出る程度の軽い風邪である。
 平成10年1月28日午後1時半、O-ring 施行。小青竜湯、加味帰脾湯、柴朴湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、八味地黄丸、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、麻黄附子細辛湯、よく苡仁湯、葛根湯加川弓辛夷、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、女神散の順。小青竜湯を 2pack/day 処方。中肉中背。目は大きく、外見上、中間証。風邪気味であったため小青竜湯が良く反応したのであり、加味帰脾湯あるいは柴朴湯または柴胡加竜骨牡蛎湯を処方すべきであったと思われる。

(症例)女性。昭和48年7月30日生まれ。永翁00。平成6年7月5日、交通事故にて右手の肘を打撲。このとき第4頚椎から第7頚椎に架けて椎間板の狭窄を認める。頭部CT上、特記すべき所見なし。
 平成8年2月26日、右手関節曲げるとき疼痛あり。握力・右12.5kg. 左22.0kg 。疼痛のみでなく、右手指に力が入り難い。後縦靭帯骨化症の疑いにて頚椎MRI施行するも判然とせず。
 平成10年3月28日、4日前より後頭部から右肩に架けて疼痛有りて来院。外見上、やや虚証。O-ring 施行。帰脾湯、防風通聖散、女神散、五苓散、よく苡仁湯、釣籐散、桂枝加朮附湯の順。帰脾湯を 3 pack/day 処方。

(症例)女性。昭和46年1月12日生まれ。幾竹00。21歳時より始まったてんかん発作のため抗てんかん薬を服薬している。そのてんかんは、まず右足が震えてくる、次にそれが右手にも起こってくる。その発作は真夜中か朝にしか起こらない、という。今まで救急車で運ばれるような発作はない。ヒステリーをも疑っている。最近、妊娠したが結局下ろすことに決めたという。今後も抗てんかん薬を飲まなければならないのは厭で、漢方でてんかんを治せないかということであった。平成10年4月11日、O-ring 施行。抑肝散、当帰芍薬散、大柴胡湯、半夏厚朴湯、半夏白朮天麻湯、桂枝加朮附湯、女神散、加味逍遥散の順。抑肝散、当帰芍薬散、大柴胡湯は僅差であった。抑肝散を 3 pack/day 処方。

(症例)25歳、女性。主訴は後頚部と肩の間の痛み、とくに体動時に痛む。肩凝りはない。起立時、下方を向くと目眩が起こる。O-ring にて加味逍遥散、八味地黄丸、葛根湯、桂枝伏令丸、苓桂朮甘湯の順。加味逍遥散を 2pack/day 処方。

(症例)女性。昭和43年7月7日生まれ。三島00。8年前、交通事故で左側頭部を強く打ち、外傷性頚部症候群となり、口が開かなくなるなどの症状を起こし本院にて鍼治療と理学療法を受けた。
 平成8年7月22日、頭痛が強く、再び本院来院し鍼治療と理学療法を受けた。このときは顕微鏡を扱う仕事を行っているための職業病のようなものと理解していた。
 平成9年末より頭の奥に空漠とした感覚を覚えていた。頭の中が回転しているような感じがしていた。よって平成10年1月28日夕方来院し、頭部CTと頚椎単純X線撮影を行い、異常なし。左側の首から肩に架けて凝りが激しい。外見上、中間証。
 その日、O-ring 施行。葛根湯加川弓辛夷、小建中湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、白虎加人参湯、芍薬甘草湯、川茶調散、酸棗仁湯、六君子湯、黄連解毒湯、抑肝散加陳皮半夏、半夏白朮天麻湯、桂枝茯苓丸、柴朴湯、黄連湯、桂枝加朮附湯、防風通聖散の順。小建中湯を 3pack/day 処方。また第1胸椎左側に皮内鍼を1本施行。その1本で非常に軽くなったと言う。葛根湯加川弓辛夷から六君子湯までは僅差であった。

(症例)女性。昭和41年1月17日生まれ。樋口00。2年ほど前、筋緊張性頭痛の診断で外来通院歴有り。2日前、39度台の発熱あり。昨日、夜より今までに経験したことの無いほど激しい頭痛あり。今朝(平成10年2月4日)まで痛みが残っており、いつものとおり仕事に出て午前中仕事をしていたが発熱は全く無いのに頭痛は少しも軽くならず却って強くなるため午後3時に早退し本院来院。頭部CT上、特記すべきことなし。頚椎単純X線上も特記すべきことなし。肩凝りがある。アレルギー性鼻炎有り。耳掻きを扱っていて右外傷性鼓膜穿孔を起こしたことあり。
 平成10年2月4日午後4時半、O-ring 施行。甘麦大棗湯、抑肝散加陳皮半夏、当帰芍薬散、五苓散、麻黄附子細辛湯、防風通聖散、白虎加人参湯、小青竜湯、釣籐散、桂枝茯苓丸、苓桂朮甘湯、八味地黄丸、葛根湯、黄連解毒湯、よく苡仁湯、桂枝加朮附湯の順。甘麦大棗湯を3pack/day 処方。

(症例)男性。昭和39年12月6日生まれ。田口00。強い頭痛で来院。しかし腰痛の方が強い。以前、重量挙げをやっていた。身体は大きく、顔は赤い。外見上、実証。しかし、O-ring 施行中、中間証と判断する。平成10年4月17日、O-ring 施行。葛根湯、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、葛根湯加川弓辛夷、よく苡仁湯、女神散、加味帰脾湯、補中益気湯、酸棗仁湯、小柴胡湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加朮附湯、川きゅう茶調散、小建中湯の順。葛根湯、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、葛根湯加川弓辛夷は圧倒的であった。よく苡仁湯もかなり良く反応した。越婢加朮湯、抑肝散、加味逍遥散、当帰芍薬散、柴胡桂枝乾姜湯、牛車腎気丸、小青竜湯、抑肝散加陳皮半夏、柴胡加竜骨牡蛎湯、甘麦大棗湯は反応悪し。葛根湯と当帰四逆加呉珠楡生姜湯を 3 pack/day ずつ処方。

(症例)男性。昭和39年11月26日生まれ。五船00。強い熱証。また、外見上、虚証。12年前より対人恐怖症のため比較的多量の抗不安薬を服薬している。平成9年11月10日、O-ring 施行。帰脾湯、葛根湯、女神散の順。帰脾湯と葛根湯を 3 pack/day 処方。
 過去、漢方がほとんど効かなかったため、1日近く絶食した後、1週間分の葛根湯を飲む。すると体は非常に熱くなり、冬なのに汗が出てどうしようもなくなった。しかし気分は非常に爽やかになる。
 翌日、今度は帰脾湯を空腹の中に1週間分飲む。葛根湯と異なり体はあまり熱くはならなかったが常に存在していた激しい背中の凝りはかなり軽快していた(しかし2日後、再発)。
 平成10年1月20日午後1時50分、二度目の O-ring 施行。半夏厚朴湯、甘麦大棗湯、抑肝散加陳皮半夏、柴朴湯、釣籐散、当帰芍薬散の順。この日、変薬の手続きできず、変薬せず様子見る。
 2月2日午後2時30分、三度目の O-ring 施行。甘麦大棗湯、葛根湯、葛根湯加川弓辛夷、半夏厚朴湯、抑肝散加陳皮半夏、川茶調散、防風通聖散の順。甘麦大棗湯、葛根湯に変薬。
 3月5日より、O-ring 施行せず、柴胡桂枝乾姜湯と四逆散 3 pack/day ずつに変薬。柴胡桂枝乾姜湯は葛根湯と同じように非常に良く効くことを自覚。現在、葛根湯と柴胡桂枝乾姜湯がベストの処方としている。これは頚椎の強い配列異常があることと強く関連していると思われる。

(症例)女性。昭和39年3月3日生まれ。小学校教師。受け持ちは6年生。性格は標準。8年前、交通事故に遭い、頚椎捻挫する。右肩から右後頭部に架けて比較的強い凝りあり。不眠もあるが、これは仕事のストレスからであると言う。
 平成9年11月8日、O-ring 施行。加味帰脾湯、酸棗仁湯の順。しかし、1週間後、『その頃、不眠症気味だったからでしょう。』と言う。現在の主訴は肩凝りであり、以前、当帰芍薬散が良く効いたので当帰芍薬散を希望するため当帰芍薬散を処方。

(症例)女性。昭和38年1月18日生まれ。左肩から首筋への激しい凝りがある。以前、バレーの選手であり、バレーで痛めたという。変型性頚椎症、頚性頭痛の診断。
 平成9年12月17日、O-ring 施行。甘麦大棗湯、葛根湯、柴胡桂枝湯、大黄甘草湯、苓桂朮甘湯、女神散、補中益気湯、越婢加朮湯、桂枝加朮附湯、芍薬甘草湯、六君子湯、白虎加人参湯、当帰四逆加呉珠楡生姜湯の順。甘麦大棗湯を2週間分処方。しかし甘麦大棗湯はあまり効かなかったという。同時に出していた etizolam, ethyl loflazepate(ともに抗不安薬) の方が良いという。そのため今回は etizolam, ethyl loflazepate のみ処方。前回行ったトリガーポイント局注が良く効いたと言うため今回も0.4%キシロカインに少量のステロイドを混ぜたものを局注(11ml)する。バレーの選手であったためか背は高く外見上痩せているように見えるが筋肉質で筋肉は硬い。

(症例)女性。昭和36年10月11日生まれ。大浦00。平成9年9月5日初診。2、3日前より目の前に白いものが飛んだ様になり、意識朦朧となり、転倒した、と言う。打撲はなし。両手に痺れ感がある。加味逍遥散と苓桂朮甘湯を3 pack/day ずつ2週間分処方。10月9日再来し、クスリのみ2週間分貰って行く。それ以来、来院せず。
 12月27日、3度目の来院。目眩があり夜眠れないと言う。よってO-ring 施行。芍薬甘草湯、苓桂朮甘湯、酸棗仁湯、加味逍遥散、大柴胡湯、黄連解毒湯、葛根湯加川弓辛夷の順。芍薬甘草湯と苓桂朮甘湯を 3 pack/day ずつ処方。何故、芍薬甘草湯になったのか、内耳か何処かの筋肉が攣縮してこういう症状を呈していたのか、また苓桂朮甘湯と酸棗仁湯を処方するべきではなかったのか、と考える。

(症例)女性。昭和34年10月29日生まれ。小川00。外見上、やや虚証。今年に入ってから右眼から奥に架けて痛みが走る。以前、平成5年7月、坐骨神経痛の診断で当院通院歴がある。第4腰椎と第5腰椎間に狭窄あり。
 平成10年2月2日、O-ring 施行。甘麦大棗湯、当帰芍薬散、五苓散、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、半夏厚朴湯、白虎加人参湯、よく苡仁湯、葛根湯、葛根湯加川弓辛夷、柴胡桂枝湯、加味帰脾湯、小建中湯、芍薬甘草湯、苓桂朮甘湯、呉茱萸湯、越婢加朮湯の順。甘麦大棗湯、当帰芍薬散、五苓散は僅差であった。甘麦大棗湯を 3 pack/day 処方。しかし頚椎の変位からこういう状態に陥ったのか、それとも五苓散を処方すべきだったのか、判断に迷う。

(症例)女性。昭和34年9月4日生まれ。井手00。思春期より頭痛持ちであり、市販の鎮痛薬を常用していた。平成7年9月11日に1週間前より耳鳴りがあり、また3日前より下肢のフラツキが出現し、本院受診。受診時、頚部・肩部の凝りが激しい。
 平成9年12月12日、2年ぶりに来院。肩凝りが強く、肩凝りの激しいときには頭痛もある。2年前、来院したときに処方された etizolam が非常に効果があったという。etizolam の処方を希望。O-ring にて加味逍遥散、加味帰脾湯、帰脾湯、葛根湯加川弓辛夷、黄連解毒湯、柴朴湯の順。葛根湯と小青竜湯は反応悪い。加味逍遥散を 3 pack/day 処方。

(症例)女性。昭和34年4月6日生まれ。林000。後頭部にキリキリする痛みが走る、ことを主訴に来院。雨が振る前に痛くなる、と言う。目眩、痺れ、頚や肩の凝りなど無し。血圧が上が102、下が60と低い。平成10年2月12日、O-ring 施行。五苓散、甘麦大棗湯、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、釣籐散、疎経活血湯、呉茱萸湯の順。五苓散を 3 pack/day 処方。すべて頭痛に効果があるとされている方剤ばかりが候補に挙がったが、五苓散が効かない場合、甘麦大棗湯や当帰四逆加呉珠楡生姜湯などを投与すべきと思われる。

(症例)男性。昭和33年9月25日生まれ。田中00。長年来の頑固な肩凝りが主訴。鍼を希望して来院。しかし鍼は1日ぐらいしか効かないことを説明し、O-ring 施行。麻黄附子細辛湯、葛根湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、苓桂朮甘湯、酸棗仁湯、よく苡仁湯、加味逍遥散、当帰芍薬散、大柴胡湯、半夏厚朴湯、黄連解毒湯、補中益気湯の順。麻黄附子細辛湯から葛根湯までは僅差であった。風邪は引いていないという。以前、葛根湯を処方し、28日分服薬したが効果は見られなかった。よって桂枝加竜骨牡蛎湯を 3 pack/day 処方。漁業をしており、外見上、実証。

(症例)女性。昭和32年3月9日生まれ。田中00。外見上、やや実証。数年前より後頚部の凝り、目眩あり。そのために仕事も辞める。しかし、耳鼻科にてメニエール病は否定される。変形性頚椎症(第3頚椎から第7頚椎に架けての椎間板ヘルニア)の診断。平成9年9月、O-ring 施行。苓桂朮甘湯、葛根湯の順。苓桂朮甘湯と葛根湯を 3 pack/day 処方。数カ月後、職場復帰を果たすほど、状態良くなる。

(症例)女性。昭和31年3月16日生まれ。金田00。外見上、中間証。昨年6月頃から左肘のところが痛む、左第3・第4指の痺れもある、昼間はあまり痛くないが夜になると痛くなる、左耳の奥に膜が張ったような感じがある、しかしこれは1週間前から風邪を引いてからであるような気がする、という。
 平成10年2月16日午後5時、O-ring 施行。女神散、抑肝散加陳皮半夏、柴朴湯、半夏厚朴湯、抑肝散、加味帰脾湯、柴胡桂枝湯、防已黄義湯、呉茱萸湯、葛根湯加川弓辛夷、苓桂朮甘湯、補中益気湯、当帰四逆加呉珠楡生姜湯、川茶調散、酸棗仁湯、黄連湯、大柴胡湯の順。女神散は圧倒的であった。女神散を 3 pack/day 処方。Neurotropin 錠も同時に処方。

(症例)女性。昭和31年2月9日生まれ。牧瀬00。3カ月程前より頭重感があり、左肩痛、左指痺れ有り。昨年3月中旬に軽い過呼吸発作あり。7月に本格的な過呼吸発作あり。平成10年3月30日午後5時、O-ring 施行。抑肝散加陳皮半夏、抑肝散、帰脾湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯、川茶調散、よく苡仁湯、疎経活血湯、防風通聖散、補中益気湯の順。抑肝散加陳皮半夏、抑肝散、帰脾湯、桂枝加竜骨牡蛎湯は僅差であった。抑肝散加陳皮半夏を 3 pack/day 処方。

(症例)女性。昭和29年7月12日生まれ。鎌田00。診断名・不安神経症。背は高く、痩せており、虚証タイプ。性格は従順。神経質で抗不安薬を服薬していないと日常生活を送ることが困難である。生理痛強く、生理時には市販の鎮痛薬で凌いでいた。
 平成9年5月2日、急患センターへ激しい目眩などで受診。メニエール病と診断され抗不安薬の投薬を受ける。しかし2日後の5月4日、再び同じような症状にて同急患センター受診。このときは目眩を軽減するための betahistine mesilate の投薬を受ける。しかし症状は軽減せず。5月6日、当院受診。他医より頭部CT撮影、点滴など施行され、症状軽減。また持病の頭痛に etizolam が奏功することを知る。
 5月24日、筆者に初診。 ethyl loflazepate の 1mg 錠の朝夕2回投薬および頭痛に対し釣籐散 3 pack/day 処方。 ethyl loflazepate が奏功したのか症状はかなり軽減し、同年8月25日再受診まで目眩・不眠・言い知れない不安感、および頭痛などは軽減し、小康状態を保つ。8月25日、再び ethyl loflazepate と今度は苓桂朮甘湯を処方。同年10月8日の再診まで小康状態となる。10月8日再診。この日、O-ring 施行。当帰芍薬散、加味逍遥散の順。しかし不眠などは訴えず(不眠、言い知れない不安感は間違いなく存在していたと思われる)頭痛を訴えるため呉茱萸湯を処方。 ethyl loflazepate もいつも通り処方。再び小康状態となる。
 平成10年1月26日、症状悪くなり再診。大学受験を控えた娘も神経質で試験が近づくにつれ不眠症気味であるという。そのため抗不安薬を娘に飲ませても良いでしょうかと話してくる。同日午前11時、O-ring 施行。白虎加人参湯、葛根湯、防已黄義湯、防風通聖散、柴胡加竜骨牡蛎湯、甘麦大棗湯、葛根湯加川弓辛夷、麻黄附子細辛湯、疎経活血湯、五苓散、柴朴湯、女神散、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散加陳皮半夏、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、補中益気湯、芍薬甘草湯、六君子湯の順。白虎加人参湯、葛根湯、防已黄義湯は僅差であった。葛根湯を処方。「去年からずっと風邪をひいているんです。」と言う。3月4日、診察時にはまだ風邪症状続いており、しかし全身状態は良く、肺胞呼吸音も正常。慢性気管支炎の診断をする。引き続き ethyl loflazepate の投薬は継続する。
 
(症例)男性。昭和28年