前回の記事では、今でも深淵なる宇宙空間を航行している宇宙探査機を紹介しました。
今回はそれらとは対照的な探査機たちを。
昨年の9月15日の事です。
1997年10月に打ち上げられ、2004年6月に土星軌道に入って以来、約13年間に渡って探査活動を行ってきた探査機カッシーニがその任務を終了し、土星の大気圏に突入して燃え尽きました。
土星を206周回、33万2000枚の写真を撮影してのファイナルミッションに、当日は世界中の天文ファンの惜しみない賛辞がネット上でもあふれていましたよ。
カッシーニが捉えた土星と衛星タイタン (「National Geographic」より)
土星探査機カッシーニ(weblio より)
カッシーニのように、最後は木星の大気圏に突入してその使命を終えたのが木星探査機ガリレオ。
ガリレオは1989年10月に打ち上げられ、1995年12月に木星周回軌道に入りますが、この間メインアンテナが作動しないなどのトラブルに見舞われます。それでも当初の予定よりも長期間のミッションを遂行し、2003年9月に木星に突入して運用終了。
ガリレオが捉えた木星の衛星・イオ(Wikipedia より)
木星探査機ガリレオ(Wikipedia より)
2011年8月に打ち上げられ、その5年後に太陽系最大の惑星の周回軌道に入って、現在我々に精緻で神秘的な画像を送ってくれているジュノーも、2021年頃には木星に突入させて処分されるそうです。
ジュノーが捉えた木星と組み立て中のジュノー探査機 (「NASA」公式HP より)
一般に宇宙探査機の最終処分については梅之助は素人なのでよく分かりませんが、それぞれの探査機、探査対象の星などで異なってくるのでしょう。カッシーニやガリレオ以外にも、水星や金星に落として運用終了とした探査機もありました。
その一方、カッシーニやジュノーなどは素晴らしい画像を送る能力があるのだから、運用終了後も当面は探査惑星を周回する人工衛星としておいてもいいんじゃないか、という気もします。
しかし、事情はそれを許しませんでした。
理由は木星や土星の衛星たちにありました。
(左)土星の衛星・エンケラドス (中)木星の衛星・エウロパ (右)土星の衛星・タイタン (Wikipedia より)
上の衛星たちは、左から生命が存在する可能性が高い順です。
つまり、カッシーニやガリレオ(探査終了後のジュノーも)の処置は、自らに付着しているかもしれない地球の微生物を、万が一の事でこれらの衛星に持ち込まない為の方策だったというのです(微生物って、十年以上宇宙空間にいても全滅しないんだね、もちろん探査機内部のものだろうけど)。
コントロールするエネルギーが残っているうちに自らを処分、というのは少し切ないですね。
そうそう、あの映画を思い出しましたよ。
映画「ターミネーター2」より
未来への災いを事前に摘むために、自ら溶鉱炉の中へと身を没したタイプ・T-800。
カッシーニたちの最期もこれと同じなんだな。
ちなみに、カッシーニは衛星タイタンにホイヘンス探査機を放出し、着陸させています。こいつはどうなっているんだ?というツッコミは梅之助にはなさらないようお願いいたします。
NASAに聞いてね。
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