第5話
翌日の放課後
芸能活動で忙しい春菜に時間を作ってもらい、ミステリー研究部の部室に呼んだ。
尾出に頼んで、静かに話せる場所として協力してもらった。
最初は同伴を持ちかけたが北斗がお腹を殴り、横たわり、部室から強制退室させられた。
尾出が同伴を持ちかけたのは春菜が彼の好みの容姿をしているからだ。
まだ、春菜はきてはおらず、椅子に座って待っていると廊下から走るおとがし、部室の扉が勢いよく開く。
そこにたっていたのは桜のヘアピンを前髪で留めているショートカットの女子高生西寺春菜である。
「どう言うことですか?」
血相をかいて智香に問う。
「西寺さんの耳にも入ったようね」
智香は冷静だった。
「どうして、美代が逮捕されるかわかりません」
親友が逮捕されたのだ。冷静ではいられない春菜。
「落ち着いて聞いてくれるかしら、牧野愛さんの火災による死はあなたが言ったとおり、事故でも自殺じゃなかった。殺人だったの。その犯人は美代さんだったわけ」
「誰かに脅されて、本音じゃないです」
春菜は一旦、深呼吸し、質問を続ける。
「仮に本当として動機はなんですか?」
「彼女は警察でこう話しているわ『ゆりちゃんを守る為』って」
「意味がわからないです」
どうして山口ゆりの名前が出るのか春菜は不思議でたまらないが智香はそれをきにせず話を進める。
「牧野愛さんと美代さんがゆりさんをいじめ追い込ませ、転校させた事が関係していたのよ」
「愛ちゃんがまた、ゆりちゃんをいじめてた、そういいたいの?」
「いじめと言うより脅迫に近いわね」
「脅迫ですか?」
「いじめてたのは事実だったとしても転校した理由はそうではなかったということよ」
春菜は智香の話を聞くがいまだに親友の美代が逮捕されたのかきがきで仕方なかった。
それを読み取る智香だが順序だてた通りへ進めていく。
「まず、ゆりさんの両親がゆりさんはお嬢様学校に通っているのも嘘で、一人だけ転校させたというのに関係していたのよ」
直感で春菜も察した。
しかしあえて口にしなかった。
「彼女は貴方の担任の先生だった大町先生とし駆け落ちしたのよ」
「駆け落ち!?」
直感してたが驚きでたまらない春菜。
「大町先生には貴方たちと同い年の妹がいたのよ。親は今から2年前に不幸な事故でなくなり、それをきっかけに妹さんは引きこもりになり、大町先生はそれを周りには話せずにいた。それを気づいたのがゆりさんでそれからは妹さんの友達で話し相手になった」
「先生には妹がいるのは知ってました。まさか、引きこもりだったとは驚きです」
「それが始まったのが中2の秋ごろでたまにゆりさんが大町先生の妹さんを連れ出したりしてたらしい」
智香が明かしたのは山口ゆりの転校ではなく駆け落ちしたという事実。それも先生と生徒。それがどう関係しているか、検討つかず、苛立ちは頂点に達しているが落ち着いた口調で聞く。
「なんかそれてませんか?」
「それてはいないわ、動機と深く関係するのよ」
その言葉で春菜はもう少し聞いてみることにした。
鞄からお茶のペットボトルを取り出し、ひとくち飲む。
智香はゆりと大町のきっかけを話す。
「ゆりさんはたまに先生にアドバイスや相談相手になっている間にこの人には自分しか頼れる人がいないと感じたそうよ。その頃から教育親だった母親から逃げれる時間というのも大きく関係していたそうだけど、ある日、ゆりさんが母親とのケンカでメンタルが弱っているときに寄り添ってくれてその雰囲気で男女の関係になり妊娠した」
さらに驚きな事を明かし春菜は戸惑いを隠せない。
「妊娠!?」
当時、中学三年生。智香は落ち着くまで待ち、落ち着くと続ける。
「それを親友だった美代さんには話したそうよ。その時にあの家から逃げたい事もあり駆け落ちを計画も伝えたらしいわよ」
「そんなやすやす、先生が許すはずがないです。中学生と先生の駆け落ちなんてドラマじゃあるまいし成功何てしないです」
常識的に考えれば春菜の方が当然の言葉である。
「確かに、でも、うまく行くことができた。なぜだと思う?」
「どうしてですか?」
「妊娠の事実を知った大町先生の妹さんは兄の将来をどうするのかと中絶しない覚悟を聞き激怒し、美代さんと揉み合いになり、自宅の中の階段から足を踏み外してなくなってしまった。」
「もしかして」
先程から驚きな事実がどんどん明かされているが春奈が気づいたのは信じることができないこと。
智香から答えを言う。
「そう、美代さんは妹さんになりますことを選んだのよ。大町先生もその日、自宅にいたみたいで最初は自主を行ってたようだけど両親が怖い。自殺するという彼女の言葉で、逆に彼女の提案に乗ってしまった。妹に成り済まし、駆け落ちする提案をね」
「そんな…」
ショックは大きかった。
「ゆりさんはそのときの立場を大きく利用することを選んだ。いじめが始まった頃の成績が下がったのは妊娠してたせいで、それによる親のクレームによるものから始まったいじめを利用し、架空の事実を作り、駆け落ち計画を始めた。駆け落ちしても親の地位や立場では大事にはできないことを見越してね。そして、大町先生の妹さんは人目がつかないところに埋めた」
「愛ちゃんは自分のいじめで転校したんじゃなく駆け落ちという事実を知り、騙した美代ちゃんを責めたわけですか」
「ちょっと違うわね。『ゆりちゃんを守るため』という動機とは合わない、愛さんはゆりちゃんと大町先生を脅迫してたのよ」
「え、それでなんで、美代が自分は脅迫されてないのにですか?」
「愛さんの脅迫が始まったのは今年の冬、その頃に美代ちゃんは会いに行ったのよ。出産祝いを届けにね。そのさい、駅で出くわし、不自然さを感じた愛さんにつけられて、その事実を知ったのよ」
「美代ちゃんはゆりちゃんの駆け落ちがばれたのは自分のせいと思って、代わりに犯行を行っていいたいんですか?」
半信半疑な春菜。
「そうよ」
その言葉に最も知りたい事実を自ら聞く。
「じゃあ、電車で足を切断されたのはあれはどうなりましたか?」
その質問がついにきたと智香は思った。
その事実を伝えるのが智香は心苦しかった。
決意を決めて言う。
「残念だけどやはりあれは自らしたものよ。」
「将来が期待されているのにどうして」
「彼女の不調は3週間前、その時、ゆりさんに会いに行ってたのよ。電話で脅迫されている事実を聞き、驚いたそうよ。すぐに謝りに行った。そのさいに彼女は美代さんの手を振りほどこうとして事故が起きた。それを伝えれば保険金はおりたでしょうね。それではゆりさんの居場所もばれ、2人が身分偽証などで捕まるのは確定、事実を隠し通そうも隠しきれるはずもないとそこで復讐し、選手生命をたつことを選んだのよ」
「確実な証拠があるんですか?」
鉄道の本を取り出して、電車の仕組みのページを見せて伝える。
「電車にはね。排障器、スカートとも呼ばれる、小さい障害物を取り除くものがあるんだけどその隙間は10センチも満たないのよ。そして現場の踏切はスロープだった。あの場合は普通に倒れてたり、置かれたら、足が浮くのよ。
それではスカートのうえの排障装置にあたり、身体が飛んで、脚だけではすまないはず、脚だけの場合、考えられるのは自ら線路に押さえつけない限り不可能なのよ」
それを聞いてもどうしても認められない。
智香にもその気持ちはわかる。
「普通、選ばないはず、もうすごい激痛があるはずです。下手したらその痛みで亡くなってたのに」
いつもの智香なら言わない言葉を春菜に向けて伝えることにした。
「その覚悟、だったじゃないかしら、そうじゃなければ、選ばないわよ。神様にジャッチさせたじゃないかしら、脚を失うことで許されるか許されないか、そうじゃなかったらあんな、リスキーなことは普通はしないわよ」
落胆する春菜。
親友を最後まで信じていて智香の推理に抵抗してきたがもう認めらずえなかった。
今までの推理を聞き、自分を悔やむ。
「私が…先輩に依頼しなかったら美代ちゃんの計画はばれなかったのかな?」
「どうかしらね、奈良の警察官も動いてたし、十中八九、明かされてたでしょうね」
智香はそういったものの、内心、その依頼がなければばれなかったのはあり得ると思った。
それと同時にある感情もあった。
自分がパンドラの箱を開けたのではないかと
夕食を食べたあと、智香は自分の部屋で小町シオンに電話で話していた。
「さすがはちーかー」
誉めるシオンに謙遜する智香。
「小町さんがいたからですよ」
「火災事件が大事件とはね、身分偽証、遺体遺棄、殺人事件…自殺未遂…今から裏取りが大変だよ」
電話の声からして大変だろうなと智香は感じた。
智香は夕方の春菜の『私が…先輩に依頼しなかったら美代ちゃんの計画はばれなかったのかな?』という言葉が頭から離れなかった。
「誰がパンドラの箱を開けたんでしょうか?」
「好奇心で開けると不幸と災いが起きたというあれか…誰でもないじゃない」
その言葉を聞いてなお、智香はパンドラの箱を開けたのは自分だと思っていた。
自分が依頼を受けなければそうはならなかったのではと
自分が解決した事件で余罪や隠された事件が明かされるのは少なかったからかもしれない。
「自分がパンドラの箱、開けたとか思ってない?」
図星な智香。
「ちーかはわかりやすいからね、パンドラの箱の話って最後に希望しか残ってなかったってあるでしょ?だから、これから辛いことがあの子達にはあるけど希望が助けれくれるよ」
その言葉で少し、罪悪感は和らいだ。
そして、事件を解決するという重みを深く感じさせられた。
「で、これから、女子会だー、智香もタメでお願いよ」
そういうと電話が切れて、部屋にシオンと小学生の妹、静美と幼き妹、幸がお菓子とジュースを持って入ってきた。
「どうして!?」
状況がすぐに理解しきれない智香。
「事件の裏取りでね。今日は泊らせてね。親御さんの許可はもらってるよーん」
その日は女子会で盛り上がった。
9月3日更新予定