ICU(Intensive Care Unit)での話。

入院中に知り合った同年代の男性のMさん。


建築事務所を経営していて、病院からしきりに現場へ携帯電話を使って指示していた。

このMさん、ぼくと同じ急性心不全で緊急入院したのだが、集中医療室に運ばれた。


その際「非常に危険な状態だったけど、意識があったんです」・・と本人が話すのである。

集中医療室に運ばれて、ベッドの上で危篤状態にも関わらず、意識がはっきりしていて、医師たちの会話が全部耳に入ってきたというのである。

「あしたの朝まで、もたないなぁ・・命があっても植物人間になるだろうなぁ」とか・・そんな会話が耳に入ったと言うのである。

おまけに、医師たちがケラケラ笑いながら・・「おう!ゴッドハンド(神の手)だ!」とか言いつつ、お互いを褒めながら治療を行っていたと言うのである。

本人の弁によると「その時は、非常に腹がたってきたけど・・表現する感覚が麻痺して表現ができなくてくやしかった」と言うのである。

さらに、Mさん曰く「このまま死んでもいいや」と感じるぐらい楽だったというのである。

つまり、身体が危篤状態であっても、意識は健康状態なのかなという感覚なのである。

もうひとつ付け加えると、ICUにいた看護師さんたちは、皆若くてレベルの高い別嬪さんか可愛い女性ばかりだったと言っていた。(笑)

このまま死んでもいいという心境が、いかなるものか?

・・半分解るような気もするが、助かった自分の命に対して、ほんとうのことを言えば、これから、どう向き合えばいいのか解らないのだ。

だから生きる限り人間は、生命の自由を求めて働こうと思うのかもしれない。


だから生きる限り人間は、自由な生命が拘束されるのが怖いのかもしれない。

自分の未来に必ず出会う「死」というものに、インテンシィブではなく穏やかに微笑むことができる人は、幸せだと思うのである。