毎年やってくるツバメが、今年もまた実家の上にある空を何度も舞うように飛び回る。

だが・・今年のツバメは、降りてこない。


「ツバメは、喪中の家には来ぬそうな」

・・ 燕の巣を見ながら、母は、ポツリと言う。

「父さんが、ツバメになって、見守っているんだよ」 

・・ 母を見ながら、兄は、ポツリと言う。