心の引き出しの内側の奥底に、魂が揺さぶられるほどの殺伐した風景の記憶があります。
荒れた海でもなく、白い雪景色でもなく、
色鮮やかなトロピカルな世界でもなく・・
観光客が殺到する風光明媚な歴史のある場所でも絶景でもなく・・
田舎の風景でも大都会の風景でもなく、ましてや砂漠でもなく・・
それを、ただの殺風景と評する方もいます。
それでも、小生にとっては、情緒感覚が180度振れるぐらいの強烈な心象風景としての記憶です。
今日、ブログ仲間で国際結婚をされて英国に暮らす「みやこさん」の日記に、個人的に興味深いことが書いてありました。
同じ情緒的な感覚を所有している方がいると想うと嬉しくなりました。
みやこさんが現地で日本語を教えている生徒さん(イングランドでも風光明媚な湖水地方で育った方)に・・
「イギリスでどこが一番きれいだと思いますか?」と聞いてみたようです。
答えは、「スコットランドのグレン・コーが一番きれいだと思います」だったようです。
この答えは、小生、長い間、ず~ともやもやとしていた気持ちをクリアにしてくれました。
小生、英国滞在からの帰国後、日本で結婚。
その後、再び、家内と新婚旅行と称して渡英、半年間ほどレンタカーを借りて欧州全土を走り周っていました。
スコットランドのグラスゴーからネス湖に行くA82のルートの途中にグレン・コーがあります。
グレン・コー(Glen Coe)」というのは、古語ゲール語で「嘆きの谷」の意味だとのこと。
<名誉革命ののち、イングランドとスコットランド、英国国教とカソリック、ハイランド内でのクラン族内の対立の複雑さ含め、1692年2月13日、イングランド軍の策略で、ここに暮らしていたマクドナルド一族の70歳以上の老人を除く、村人の女子供を含めて抹殺せよと命令が出された。悲しい虐殺の歴史だが、温かいもてなしに情が移った兵士達が、わざと大きな物音を立てて村人を逃がしたり・・さまざまな言い伝えが残っている。もし生き証人がいなければ歴史の闇に消えていただろうという悲しい虐殺事件である。この地は、因みに映画のBRAVEHEARTやハリー・ポッターのロケ地にも使われている。>
この嘆きの谷・・静寂な美しい世界が広がっています。
小生にとっては、嘆きという魂が解放されてゆくような安堵感があり、心に残る印象風景になっています。
写真は、現地からの観光宣伝用の借用写真です。
実際は、天候具合によって、もっと繊細で素晴らしい光景が広がっています。