帰宅すると、昔、大変お世話になった一人でもあるロンドンに暮らすグルジア出身のニーナさんからのクリスマス・カードが、遅れて届いていました。


若い頃、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの従軍看護婦としてポーランドとフランスで働いていたという経歴があります。


当時のソ連の独裁者スターリンは、グルジア人です。

それで、「何でソ連軍側で働かなかったの?」と聞いたことがあります。

「そりゃ、当時のナチスの軍人は立派な持ち物を持っていてさぁ。シガレットケースも金ピカで軍服もいいしさぁ。ロシアとは大違いさぁ。誰だって、あの頃は、ドイツのナチス側で働きたいと思うさぁ」と言っていました。


目は笑っていた。

心は泣いていた。


貧しさ故に、国を離れ、家族と離散し、国を裏切り、故国の名を言えず、難民として、異国に暮し、何とか今の生活を築きあげたニーナさんです。


ナチスの敗退後、彼女は難民として英国に入国しました。

その後、ホテル・サボイ ロンドンで働いていたポーランド系英国人と結婚。

2人の息子と一人の娘をもうける。

夫は、仕事帰りに交通事故で死亡。

その後、フラット(アパート)を貸したりして、3人の子供達を立派な英国人に育てる。

「戦争も貧困も嫌だよ」とよく話していました。


ただ、若い頃の写真は、オードリ・ヘップバーンとよく似ていて、自ら「若い頃から独身の時も未亡人になっても・・男には全く不自由しなかった」と豪語していました。(笑)


長男は、アメリカ人女性と結婚。

次男は、ボルネオのジャングル暮らし。

娘さんは、詩人になっています。


どれだけ、たくさんのジョーク、逸話、人生訓を教えて貰ったことか・・。

「おまえは、人を殺せない人間だ」と、じっと目を見つめられて言われたことがあります。

「わたしには、それが解るんだ。人を殺せない人間を伴侶に選びなさい」・・と自信あり気に言ってたのを思い出します。


ニーナさんのクリスマス・カード・・年々、字が震えていて、はっきりと読めなくなってゆくのが、物寂しいです。


さて、年賀状も書けない年末を過ごしています。


人の失敗や間違いばかりを指摘するのではなくて・・

ささやかでも正しいことを指摘する方が、人を生かせます。


来年が、胸を躍らせる一年でありますように♪