港の風景・・父の描いた油絵が、とある病院のロビーに飾られている。

「若い頃から、海や港の絵を暇なときに描き続けていたら、ひょっとして、港を描かせたら日本屈指の画家になっていたかも知れないね」というと・・。

母が間髪いれずに「当時は遊びに忙しくて絵など描く気もあったもんじゃない」と言った。

たしかに、そうかも知れない。

徹底的に何かに没する事は、博打であって、その絵が売れなければ喰っていけない。

多くの天才は少なからず食っていけない時期を乗り切って、天才と呼ばれる高みまで押し上げられる。
 
だが、みながみな、そんな事をしたら社会は大変である。

程ほどに好きな程度で、選択の余地がある能力のほうが、平和である。