ふーちゃんは当時19歳。
民謡の踊りを習いに来ていた。
生徒さんのはずなのに、いつも師匠の家の家事を手伝っていた。
師匠は感謝するどころか、いつもふーちゃんの家の悪口を言っていた…聞こえるように…
でも、ふーちゃんはお勝手仕事を黙々とこなす。
もちろん、おとなしいだけじゃなくて若い娘らしい明るさも笑顔も沢山持っていた。
ある時、師匠の家の息子が仕事の事故で重傷を負った。
生死をさまよい、意識も戻らない。
それは長い闘病生活だったけど、なんとか快復に向かい、お世話になった病院の看護婦さんと結婚した。
それから子供も授かったけど、事故の後遺症はその後も息子を苦しめた。
あとで解った事だけど、事故の前に息子とふーちゃんは恋人同士になり、結婚も考えていたんだって。
師匠は激怒して、結婚は許されず、ふーちゃんへの風あたりは更に強くなったらしく踊りの稽古もやめてしまった。
その直後の事故。
ふーちゃんは人のいない時を見計らって病室に来ては意識のない息子の足を擦っては泣いていたらしい。
それ以降ふーちゃんを見かける事はなかった。
ふーちゃんは今どうしているんだろうかと時々思い出す。