~徒然趣向~-STRONG

『STRONG/呂布カルマ』

01. KILLING JOKE
02. 恥知ラズ
03. FUCK HOLIC
04. STRONG JET CITY feat. BASE, B-Drunky
05. 下世話
06. SKIT ~正直~
07. HOLY SHIT
08. UNDEAD MAN MARCH feat. CROSS BORN, VANGUARD
09. グロッキー・ボーイ
10. JET CITY PLAYERZ (Baby Baby Remix)


ランキングが少し上がったのを良いことに、平日も更新します。
いつまで続くことやら。

今回は東海地区を土壌に活動を展開する呂布カルマの最新作を。
とは言うものの、ほとんど知名度はないんじゃないでしょうか。。そんなアーティストの作品を紹介して「俺こんな人まで知ってるぜ」なんて優越感に浸りたいわけではありません。

僕もほとんど知らないんです。

とある方のブログに彼の1stアルバム『13 SHIT』が紹介されていたことがきっかけ(しかもメチャメチャ高評価)で、2ndアルバムの『四次元HIPHOP』を購入したことが彼との出会いでした。
ちなみに、『13 SHIT』の方は今も聴くことが出来ていません。どこかに売ってないですかね?

さて、このアルバム『STRONG』の購入に至ったのは、言うまでもなく前作『四次元HIPHOP』でぶっ飛ばされたからなのですが、その魅力は、やはりその自信に満ちたラップスタイルだと思います。それでいて、非常に韻がかたい。この韻のかたさは、個人的に大きな魅力であります。

「言いたいこと言うのがヒップホップだろ」とはどこぞのアーティストの言葉だったと記憶していますが、そこに重点を置くあまり、「言葉遊び」として大きな役割を担っていた韻(ライム)が二の次になってしまっている現状が寂しかったりするんですよね。

もちろん、メッセージ性が重視されることにより、アーティストの言葉がしっかりとリスナー側に届き、彼らの言わんとすることが明確な輪郭を有して伝わるという点においては、「言いたいことを言うヒップホップ」にも魅力は感じます。
でも、たとえば、韻を踏みながら、制限を受けることで限られる言葉の中で、「言いたいことを言うヒップホップ」が出来たら、そんなにかっこよく、スマートなことはないのではないでしょうか?

トラックが何を意味するかも分からない高校生だった自分が、ヒップホップ・・・もといラップに魅了されたのは、その制限を受ける中で、的確に自分の考えを形にするアーティストに衝撃を受けたからだったのです。

それから早10年弱。ずっとこのヒップホップという文化に触れる中で、様々なスタイルを持つラップ・アーティストが登場し、そのそれぞれがどこに重きを置くかは、まさに十人十色となりました。そのほぼ全ての個性が光っていて、相も変わらず僕は魅了されっぱなしなのですが、今回の呂布カルマは、先程の言葉で表すならば、「韻を踏むことで言葉に制限を受けながら、言いたいことを言うアーティスト」。

前作のタイトル曲『四次元HIPHOP』の一節に以下のような歌詞があります。

歌ったPEACEは何かを隠した 歌ったDISは己を写した
奪ったKISSが心を満たした ウザったいっすわ Who gotta listener?

やっぱり何気なく聴いていてこのようなラインに出会うと、その後の全曲が気になってしまうほどのパンチ力を感じます。もちろん、このきっかけを元に前作『四次元HIPHOP』はお気に入りになりました。

そんな彼の3作目。
どちらかと言えば大きな期待とともに聴きました。

やはり韻に関しては「さすが」と言えます。さらに、思えば前作からなのですが、DISをテーマにした曲が多い。別に特定の誰かを指すDISではないのですが、今の日本のHIPHOP(・・・と呼ばれるもの)に不満があるのでしょう。
初っ端の『KILLING JOKE』でも以下のようなラインが鋭く牙を剥いています。


ステージ上がったら鉄の意志で べスポジ指定
テクを見せてくれ つべこべ言わずにテクを見せてくれ

ただチャラいだけのラップさいなら ただ悪いだけのラップさいなら
ただアツいだけのラップさいなら ただ上手いだけのラップさいなら
何が足らんか分からないなら カルマのラップ聴きゃ明らか
まるでダライ・ラマ それかサイババ 存在感が違うでかいマラ

ここまで言ってしまうと、もはや爽快です。

基本的にはこのような歌詞を基準にアルバム1枚を駆け抜けていく感じで、巷で流れるラブソングや応援歌は皆無。非常に男臭い楽曲がこれでもかと羅列されています。それを良しとするか悪しとするかは、リスナーの判断に委ねられる訳ですが、世間の市民権を得るかどうかと問われれば、答えはノーだと思うわけです。

変な意味でも何でもなく、彼の曲がチャートにランクインしている姿は想像できないし、もしかしたら、彼自身にもそんな考えはないかもしれません。
僕個人的には、去年立ち上げたという自主レーベル「JET CITY PEOPLE」に集うレーベルメイトとともに、自分達の信じるスタイルを貫き続けてほしいと思います。「分かる人に分かれば良い」という考えは必ずしも正解とは言えませんが、そんな異端児が活躍できるフィールドが、HIPHOPには存在して良いんじゃないか。そんな風に思います。決して広いフィールドじゃなくて良いから。


◆24 Bars To Kill [JCP 3104Dancehall Remix]


もはやリミックスの枠を超えてますが・・・笑

◆STRONG (trailer)