$~徒然趣向~-Sick Team

『Sick Team/Sick Team』

01. Intro
02. Street Wars
03. Killin It feat. OYG
04. Lyrical Assassins feat. ROC MARCIANO
05. 目の前のreal
06. Tokyo Driftin' feat. MeccaGodZilla, GAPPER
07. Smoke Town Cruise
08. Turn It Up feat. Evidence
09. Sick Team
10. Big Tree
11. Ill Spittas feat. ILLA J
12. interlude
13. Crystal
14. My Shit feat. mimismooth
15. Special
16. 踊狂
17. Outro


2011年6月発売のSick Teamによる1stアルバム。
京都で開催されたイベント『ラップ・フェノメノン』のゲストとして登場した彼らのライブを見て購入を決めました。

恥ずかしながら、そのライブを見るまでは、Sick Teamが何なのか知りませんでしたが。

今をときめく若手のISSUGI(Monju/Down North Camp)、S.L.A.C.K.(PSG)、そして、彼らの信頼のもとプロデューサー業に携わってきたビートメイカーのBudamunkによるユニット作品。
CDのパッケージを見ていて「おっ?Jazzy Sportからのリリースか」なんて思ってたけど、BudamunkがJazzy Sportに所属してるみたいです。


さて作品内容。

やっぱりそれぞれのソロ作品の流れや好みを踏襲したかのような作品に仕上がっていて、彼らの作品が好きならば、必ず好きになれる作品だと思います。捉えようによってはスカスカのビートの上で、スムースな、でもどこか気だるそうなラップを繰り広げています。

初めて手に取る人にはどのように響くかは疑問ですが、僕は個人的には好きですね。

それは、彼らのスタイルがまだまだ真新しいから。
そして今後も彼らのようなスタイルが次々出てくるとは考えづらく、「地位を確立しちゃってるなぁ」と。

まだまだ深くは聞き込めていないですが、Budamunkの作るビートは非常に特徴的で、業界の大部分を占めるガヤガヤとした派手な雰囲気は皆無。それでも、ツボを抑えたサンプリング術には脱帽で、声ネタなんかの使い方もさすがだと感じます。

ラップ陣に関しては、ISSUGIとS.L.A.C.K.の対照的なラップが印象的。
S.L.A.C.K.のラップに関しては、日本語でありながら、どこか洋楽的な響きやグルーブ感を持っていると思うのです。間の空いたビートがぴったり合うのも彼のラップスタイルあってのことでしょう。ただ同時に感じるのは、ものうごく日本語を大切にしているラッパーだなぁと。本人が意識しているかは定かではありませんが、東京の喧騒や、ざわつき、でもふとした拍子に見せる静寂なんかがフローからにじみ出ているような。

一方のISSUGIのラップは、そのフローが思い切り日本的。日本語が日本語として響く、御幣を恐れない言い方をすれば、分かりやすいフロー。聞き手としても、構えることなくすんなり歌詞が入ってくると感じます。ただ、S.L.A.C.K.のそれと同じく、東京に根ざしたスタイル、一種の煙たさをかもし出すかのようなラップスタイルは、東京アンダーグラウンドに身を置く彼ならではの芸当だと思います。


曲単位で言うと、『Tokyo Driftin'』がお気に入り。
一定の静けさで淡々と続いていく本作品ですが、この曲はアッパーな印象を受けます。MeccaGodZilla、PSGからGAPPERを迎えることで、異なる息が吹き込まれているような印象。

それは、他の客演のある曲でも同じことで、特に海外からのゲストの違和感の無さは素晴らしいです。



スルメアルバムとはよく言いますが、本作品もそこに当てはまるものだと思います。
一度聴いて「もういいや」となるのか、何回も聞く度に発見できる斬新さに喜びを感じるのか、分かれ目をもった作品ではあると思います。僕は後者。


『Street Wars』(Music Video)