『Elements Of Story/ZIGHT a.k.a SANZO』
01. Intro
02. Tokyo Nirvana
03. Alive
04. Interlude
05. Time Lag shout by. サイプレス上野
06. River Runs Through It feat. Steruss, Fuku Del Toro
07. 海賊船~Jollyroger~
08. Last Scene
09. Ghot Town feat. BES, エムラスタ, POCHOMKIN
10. Early This Morning
11. Hard Rain 2
12. チェンジアップ feat. UD, REDSHOULDER
13. Anyday feat. Tigre
14. Believe & Don't Believe
15. Interlude
16. Elements Of Style
17. また会いましょう feat. サイプレス上野
2008年6月発売のZIGHTのアルバム。
いかにも以前から楽しみにしていたかのように書きましたが、実は全く知りませんでした。非常に細かく批評されていて、最近勝手に参考にさせていただいているレビューサイトで好評価だったので、「ものは試し」程度の気持ちで購入しました。
結果、今まで出会っていなかったことを悔やむほどの良作でした。
あのNIGHT CAMP CLICKの一員(とは言うものの、YASURIくらいしか知りませんが)で、クルーにいるときはSANZOと名乗っているようです。NCCでの作品を聴いたことがないため、ソロとなってどのような違う側面が出ているのかは分からないのですが、声もフロウも、日本語ラップシーンにいそうでいないタイプのMCだと思います。
まだ、歌詞カードを照らし合わせながらじっくりと聞き込むことはできていないのですが、ハスキーな声質で、どちらかと言えば字余りくらいの言葉数で、まくし立てるようなラップが特徴でしょうか。
非常に僕の好きな声質のMCで、フロウもかっこいいのですが、1つ難点を挙げるとすれば歌詞カードがないと何を言っているのか聴きづらいという点でしょうか。英語も多分に混ざった歌詞で、日本語の発音も英語に近いような感じで、僕が思うところの「カッコつけたラップ」に聞こえなくもないのですが、勢いと、時折聞き取れる歌詞の限りは、そのような範疇に収まるMCではありません。
フロウに関してあえて言うならば、青山テルマと共演していたSouljaが、そのときとは全く違うフロウを聞かせていた『Dogg Pound』なんかがイメージ的には近い気がします。まぁ、青山テルマと共演した曲も1回もまともに聴いたことがないので、何ともいえないのですが。
さて、このアルバムも少し前に記事にしたmeisoと同様、曲単位のレビューはできません。
全体的に言えば、とにかくトラックがかっこいいです。NIGHT CAMP CLICKのクルーメイトであるYOUICHIが全曲プロデュースしているのですが、ピアノループものから、アッパーなものまで何でもこなせる人物のよう。
『Tokyo Nirvana』で感じさせる高揚感などは、現在の日本語ラップシーンにおけるトラックでも滅多に感じられるものではないと思います。
かと思えば、『River Runs Through It』ではピアノの旋律が綺麗なループものまで秀逸な仕上がりです。
ラップに関しても、基本は言葉を多く詰めこんだ勢いに頼ったものが多いのですが、それは僕個人的にはラップを聴き始めた頃の初期衝動をえぐられるようなものですし、たとえば『海賊船~Jollyroger』ではレゲエ(とりわけダンスホール調の)におけるようなフロウを聞かせてくれます。実際、かなりのスキルを持ったMCなのでしょう。
本作における目玉は、ゲストが豪華すぎる『Ghost Town』です。名前を見ただけでわくわくするメンバーですね。実際、この曲が目にとまったことが購入のきっかけだったりするのですが。
「どこでこのメンバーが繋がってるんだ?」なんて思わずにはいられないメンバーです。Swanky SwipeからBES、Romancrewからエムラスタ、そして餓鬼レンジャーからはPOCHOMKIN。いやぁ、すごい。
それにしても、このブログ、頻繁にポチョムキンの名前が登場しますねw
少し横道にそれましたが、この曲で僕が気に入ったのはエムラスタ。少し前のライムスターの記事の『紳士同盟』でもRomancrewには触れましたが、この人本当にラップがうまい。特徴あるフロウを持っています。表現が少し変かもしれませんが、歌心があるというか・・・別にメロディアスなわけでもないし、どちらかと言えばキレキレなラップなのですが。Romancrewとしてのリリースも楽しみです。
あと特筆するとすれば、本作内で一番お気に入り(現段階)の『Last Scene』。この曲はZIGHTの持つハスキーな声質がかなりプラスに働いている曲で、落ち着きあるラップもフックでの盛り上がりも文句なしです。トラックも、ヴァース部分とフック部分でかなり違い、フックでドラムパートが一気に爆発するようなトラックは一聴の価値ありです。
他にもSterussやNCCのFuku Del Toroを迎えた『River Runs Through It』なんかも聞き逃すことはできませんし、もちろん初っ端の『Tokyo Nirvana』も文句なくかっこいいです。
サイプレス上野やSterussの参加があることから、ZZ Productionとも交流があるようですし、ストリートミュージックとしての側面を体現しているかのようなSwanky SwipeのBES、はたまたメジャーで活躍する餓鬼レンジャーのポチョムキンのゲスト参加など、非常に幅広い繋がりがあるようなので、もしかしたら彼らの作品にZIGHTの名前がクレジットされる日も意外と近いのかもしれませんね。
もし実現するのなら早く2ndアルバムが聴きたいと思えるアーティストですし、ひとまずはこの1stアルバムを隅々まで聴き込んで楽しみたいと思います。