🔴それとなく線が一本引いてある

屹立した一行詩でありる。禅問答の公案のように迫ってくる。


🔴遅刻した子をタンポポで許す

二十四の瞳を想起する。優しくて素敵な先生だ。


🔴馬が息をとめている

公案のようである。5・7・5を超越している。


🔴年金は努力もせずに痩せていく

ダイエットではないのだが笑ってそして泣けてくる。


🔴ご不要な笑い回収いたします

廃品回収ののんびりしたアナウンスが聞こえてくる。


🔴人間が豚を食ったら罪になる

考えてみると人間は罪なことをしている。


🔴ため息で紙フーセンをふくらます

出るのはため息ばかり。川柳的誇張が効いている。


🔴羞恥心目下修理に出してます

日本にはかつてはじらいというものがあった。


🔴つぶれたら元に戻らぬアルミ缶

当たり前のことだが寓話だろう。胸に手を当てると思い当たるフシがある。


🔴存分に生きて何も残さない

生き様、死に様、という言葉がある。この句のように生きたいものだ。




川柳作家ベストコレクション「嶋澤喜八郎」(2018年、新葉館出版)。


嶋澤喜八郎さんは7月24日にお亡くなりになられました。ご冥福をお祈りいたします。