瀬尾まいこ「幸福な食卓」(講談社、2004年)を読んだ。
「幸福な朝食」「バイブル」「救世主」「プレゼントの効用」と短編で発表されたがずっとつながっていてひとつの物語になっている。
冒頭、「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」の一行で始まる。
そして5行目に、「我が家は朝ご飯は全員がそろって食べる。」と続く。
あり得ないような一風変わった4人家族の物語である。
父は自殺未遂をして仕事(中学校教師)を辞める。
母は家を出てゆく(また戻って来るけど)。
兄は頭がいいのに大学に進学せず農業(無農薬野菜)をやる。
主人公の佐和子は中学二年生である。
それぞれ考え方も言動も家族の関わり方も個性的でユニークで予測不可能なくらい変なのだ。
文章もさほど上手いとも思わないが、なぜかどんどん惹き込まれてしまう。これは通奏低音として作者の人間を信じ見守る目の温かさがどこかしこに流れているからだろう。
一気に読み終えてしまった。
瀬尾まいこ「幸福な食卓」 読後感はこの作者の別の作品も読んでみたい、である。