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趣味の鉄道、街歩きネタを中心としたブログです。鉄道については、主に歴史的視点からの記事が多いです。

 12月2日放送のブラタモリ(東京・世田谷)では、世田谷線に関する内容が結構な尺を占めて取り上げられていて嬉しかったです。このことでより一層、多くの方に世田谷線の魅力を知っていただければと思います。ただ、番組を観ている中で気になった点があったので、今回はそれについて述べていきたいと思います。

 番組内では、世田谷線が上町駅で90度近く曲がる独特な線形をしていることについて、その理由として「三軒茶屋駅から下高井戸駅を結ぶにあたり、歴史的に世田谷の重要な場所である上町駅付近(代官屋敷周辺)を通らないわけにはいかず、結果的に大きく迂回するような路線になった」というような内容の説明がなされていました。これだと京王線下高井戸駅に接続することが世田谷線建設計画の前提としてあったことになります。しかし、実際には三軒茶屋駅から上町駅までの路線計画が大前提としてあり、その先どちら方向に延伸するかすったもんだの挙句、免許申請間際の土壇場に下高井戸駅接続に決まったという経緯があります。

 ちなみに地元では、下高井戸駅なんかではなく、素直に上町駅から西側に伸ばしてもらうことを要望していました。たとえば大正9年には上町駅から陸軍自動車学校方面(現在の東京農業大学)への路線建設の要望が玉川電気鉄道に対して行われています。また、既に工事が始まったあとも、上町駅から千歳船橋駅方向への支線建設の要望が行われたりもしています。

 世田谷線の建設計画は、上町駅以遠の延伸方向の問題もあり、三軒茶屋~上町(※)の第1期、上町~下高井戸の第2期という二期に分けて認可申請が行われていますが、その第1期における上町駅の構内配線図(下図上側)をみると、とてもその先北側に90度近く曲がることが想像できない配線になっています。

 

※当初の計画には現在の世田谷駅は無く、今の上町駅が「世田谷駅」という名前でした。その後、計画変更で現在の世田谷駅を設置することになり、その際に元の「世田谷駅」が上町駅に改称されました。

 

 

地元からの要望を無視する形で会社(玉川電気鉄道)が下高井戸駅接続にこだわった理由としては、世田谷線建設当時、駅位置も開業時期も未定な小田急線に接続するよりも、その時点で既に開業していた京王線で上町駅から一番距離的に近い下高井戸駅に接続させる方が確実だと会社が判断したためと思われます。結果的にですが、玉電廃止後の世田谷線が、放射方向路線を連絡するフィーダー路線として生き残っていることを考えると、会社の判断が正しかったと思います。

 

以上、12月2日のブラタモリを観て少々疑問に思ったことを補足的に書いてみました。とはいえ、番組全体からみたら些末な事柄なので、これを持って番組に訂正を要求するなどということは毛頭ありません。素直に番組で世田谷線を取り上げて頂いて感謝感謝でした。