父と息子ヨシの命日が近いので
三回忌と七回忌の法事を併せて
行ないました。

思いだすと
父は頑固で贅沢が嫌いな人柄。

ずいぶん昔、
父の日のプレゼントに
シャツを買ってあげたのですが、
わざわざ金を出してまで買うな!
と逆に叱られたこともあります。

無駄使いせず
金は大事に子供に残してやれ
というのが父の遺言。



ガスも水道もトイレもない
小さな家に大家族で住んでいた父は

「一口だけくれ」というのが

たぶん口癖だったのでしょう。


・・・僕が中学生の頃に

昼食に買ってきた
(ほか弁の)かき揚げ丼を見て

一口くれ!とパクリと食べるなり
なんとうまい!と止まらなくなり
結局全部食べられてしまいました。

その時は、
すまん、もっかい買ってこい
とお金をくれた父。

食べられた悔しさよりも
何故か嬉しかったような
思い出なのですが、
それ以来ずっと

かき揚げ丼は父の大好物でした。


僕が結婚する時、嫁さんと一緒に
父が行きつけの小料理屋に
連れていってくれて、
父も外食するんだなと
びっくりしていたら
またかき揚げ丼がでてきて
笑ってしまった。



長生きはしたくない
長生きするとろくなことない

という父の口癖は
息子ヨシが亡くなった日から
聞かなくなった。

なんとなくずっと
虫の知らせのようなものが
あったのかもしれない。

父がずっと着ていた服を
棺にいれてあげたらよかった
と母が持ってきた蒼いシャツは
30年前に僕がプレゼントした
ものでした。