「Jongdari」という名前がついていたのだと、亡き息子ヨシが兵庫県に入院していた時にやってきた2018年の台風を調べて知りました。

本州の東側から上陸、西日本を西向きに逆走し、最後は九州の南側でひとまわりする不思議な経路。

台風そっちにいったけど大丈夫か!?

と、僕が住む京都から光都という町にある粒子線医療センターのことを心配して送ったメッセージ。

ぜんぜんだいじょうぶ!

とヨシがいったとおり、平屋造りの巨大な施設はびくともしなかったらしい。

その週末にも三時間ほど車を運転してヨシに会いに兵庫県たつの市まで。

長いガラス張りの渡り廊下から
みえる大きな池は、

ふだんはカラッポだったのに、
台風の大雨で満タンになったのだと
ヨシは喜んで僕に見せてくれました。

池のほとりにいる亀の甲羅は
太陽電池になっていて
ときどき首がうごくのだと。

知らないおじさんに
その亀の秘密を教えてもらったと。

他にも
ヨシにマックフライポテトを

買ってきてくれる

どこかのおばあさんの話とか。


毎日、治療が終わるたびに
景品つきのクジ引きがあり、
みんなで「よく頑張ったヨシ君!」
と褒めてくれるスタッフさん達。

そして、いつもお土産をくれる
担当の女性医師さんが優しいこと。

⋯台風がいくつきても、
ヨシは笑顔にかこまれているのだから
きっとこの先も大丈夫。

自分にそう言い聞かせながら
この季節を過ごしていた
思い出の話です。