運動が得意だった息子でしたが

どことなく、そのポーズには
不思議な滑稽さがあり

いまも写真で見返すと
微笑ましいものが
たくさんみつかります。

写真は運動会の短距離走で
スタートラインのヨシだけが
手のひらがパー。

クセが強いなあと笑いながら
ふと思い出しました。

パパ、どうやったら
はやくはしれる?

ヨシにきかれてネットで調べ、

手のひらはパーで走るのがいい

と公園で教えたのは、
なんだ⋯僕じゃないか。

がんばりやのヨシは
誰よりも朝早く起きて
首にタオルを巻き、
(ランナーのマネ)

百均で買った万歩計を
腰につけて狭い家の中を

真剣な顔で走り廻っていたっけ。



この写真の表情も
50mをパーで走りきるぞ!
という決意のようなものが
あらわれていて
吹き出しそうに可笑しく
⋯そしてやはり哀しい。



小児がんで入院し⋯
ヨシが亡くなった
六月九日の前日は、

院内学級の運動会で
京都市中の病院内の学級を
ネットで繋いで中継し
盛り上がっていました。

ヨシの入院部屋にも
中継カメラとテレビを置いて
白組として参加し

応援席の椅子には
任天堂ヨッシーのぬいぐるみ
を代わりに座らせました。

ほとんど意識がなかったのに
白組が優勝したよ!
と耳元で報告すると、
嬉しそうに微笑んでくれたヨシ。

見守っていてくれてありがとう!
と、先生がヨシの手に握らせてくれた
折り紙で作った優勝メダル。
⋯それは今もヨシの遺影のそばに

大事に飾ってあります。