バイト青年が一人で作成した「STARDEW VALLY」。そのゲーム中の暮らしがヨシは大好きでした。

入院中に楽しんでいた「ゼルダの伝説(Bow)」がヨシの最後の冒険であったならば、STARDEW VALLYの町は、この世界のさらに下の世界に存在した⋯もうひとつの故郷だったのかもしれません。

のんびり川で魚を釣ったり、畑で育てた野菜や果物を近所の方々に配って歩いたり。
ヨシは、本当の海には一度も行ったことがなかったのですが、その町の海岸には朝早く出かけていき、珊瑚や貝殻をひらったりしていました。



あるとき、

パパ!オレ、ビールのみたくなった!

とヨシが言ったことがあり、
かなり動揺したことがあります。

もしかしたらそのセリフの裏側には、大人になるまで生きることができるのかというヨシの入院生活での不安があると思ったから。

⋯ヨシが亡くなってからずいぶん後、
(ヨシのゲーム機を引き継いで)
STARDEW VALLYをプレイしていた時に、そのセリフの意味がわかりました。

ヨシがその町で、唯一仲良くなれない苦手な住人がいたのですが、

それでも根気よく付き合っていると、
一緒にビールを飲むことで、仲良しになるという場面があったのです。

夜の池のほとりで酔っ払いながら
人生の辛さについて打ち明けて
笑いあって。

⋯あの時、大人になったらパパと一緒にビールを飲もう!と返答しました。
そして、ヨシが見せてくれた笑顔には、

これっぽっちも裏側なんてなかったのです。