イオンモールなんかにある
たくさんの大きな風船が
飛びまわる遊びの部屋。

まだ、言葉を話せない頃から、
ヨシは、この飛びまわる風船に
夢中でした。

部屋の外から、
風船達をじっと見ている
小さなヨシを抱きながら、

はいってみるか?と聞くと
いつも首を横にふっていた。

自分よりも大きな
フワフワ飛びまわる
赤や黄色の得体の知れないもの。

ニコリともせず
じっと見つめているばかり
のヨシの目には、
そう映っていたのかもしれません。

写真は、たぶん
初めて風船の部屋に入った日のもの。

片手を上に
おずおず振りながら
二、三歩歩くと、すぐ怖がって
走って逃げてきた。

やがて、
笑顔で風船に触れるようになり、

僕がいなくても
兄弟だけで、
風船と遊べるようになり、

いつのまにか
知らない子供達とも
仲良く風船を追いかけていた

・・・ヨシが亡くなった後に
この写真を見ると
なにか空の上の世界に見えて
悲しいですが、

たしかにヨシは、
ショッピングモールの
ざわざわした音と、
いろんな匂いと、
明るすぎる光の中にいました。