一旬驕話(め):「うらめしや~ おもてパン屋」
式亭三馬『浮世風呂』
ボンヤリと本棚を眺めていましたら式亭三馬の『浮世風呂』が立っていました。式亭三馬著、中村道夫校訂『浮世風呂』(日本古典文学大系63、岩波書店、昭和32年)です。この本のタイトルは(私は読めない漢字があるのですが、振り仮名を書くと)「おどけばなし うきよふろ」ですから、風呂場でのおどけた話だけです。話と言っても主人公がいるわけでもなく筋の通った話があるわけでもありません。風呂で隣り合った誰彼との掛け合いと冗句から成り立っている本です。
習俗や言葉使いに関心のある向きには、といいますと新作落語を作ったり江戸時代の小説をものしようと志している方には、深く読み込む必要があるでしょうが、たまたま手に取った私のような読者には、話の筋があるわけではないので、どこから読み始めても、どこで本を置いても一切気になることはない本です。また「浮人世風呂に見るお金の儲け方」というようなハウツウ本の材料になりそうもありませんし、「浮世風呂に見る在と不在」的タイトルの哲学論文も導かない滑稽本ですので、今からこの本を材料にして一編の他愛無いブログ文を書こうというわけではありません。
言葉遊び
この本の次々に出てくる冗句を読んでいるうちに、「そう言えば」と思い出したことがあります。何年前のことでしょうか、佐賀の人とメイルで話していた時に、何かの序に「惧れ入谷の鬼子母神」と書いたら、その方から、「ここは佐賀。東京のことを言われても困ります」と返メイルが来たのです。
それはそれでいいのですが、少し前に松浦半島出身の人に名護屋城のことを聞いていたので「……困ります」のメイルを目にしたときに、「モウこれが玄海(限界)名護屋城」というダジャレを思い浮かべました。「少しも鎮西名護屋城」という少し無理をした掛け言葉も作ってみました。何が無理かというと「鎮西」を「知んねい」と結び付けるのは無理だろうと思われるからです。
佐賀県には佐賀を中心とする文化と名護屋城に近隣する唐津を中心とする文化との二つの文化圏があるそうですので、「モウこれが玄海(限界)名護屋城」も「少しも鎮西名護屋城」を佐賀の方に紹介しませんでした。紹介すれば言下に「ここは佐賀。唐津のことを言われても困ります」と叱られるのが精々でしょうから。
「あ~うまかった 牛負けた」
中学生の頃ですが、夜にでもきょうだいで怖い話をした後「うらめしや~ おもてパン屋」と言っていました。おいしいものを食べた後に「あ~うまかった 牛負けた」とも言うのだそうです。私はこの掛け言葉は知りませんでした。
言葉遊びのブログでした。
(事情によりブログの一部を変更しました)