昭和30年代などというと、
今の若い世代の人たちには想像もつかないだろうが、
戦後のどさくさがまだ続いていた時代で、
私も子供心に社会の荒んだ雰囲気を怖そうに見ていた。
理屈なしに恰好が良かった。
憧れた。
荒んだ社会の中で「悪」に、敢然と立ち向かう脚の長い裕次郎のアクションシーンが思い出される。
「錆びたナイフ」
「風速40メートル」
「銀座の恋の物語」
「狂った果実」
「陽の当たる坂道」
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裕次郎主演の映画はほとんど観た。
1987年7月17日、ファンの祈りもかなわず54歳の若さでこの世を去った。
北海道小樽市の海辺にあった石原裕次郎記念館が今年、街から姿を消した。
所要で訪れた記念館は文字どおり、裕次郎一色に染まった「裕次郎博物館」だった。
日本の映画史に残した裕次郎の功績は計り知れないくらい大きい。