(screenweek.itより)

 

 

この映画は、事前情報ゼロでぜひ観てほしい。

原作はSF界の重鎮 ロバート・A・ハインライン の短編 「輪廻の蛇」

輪廻の蛇とは己の尾を噛むヘビ・ ウロボロス をあらわし

古代から永遠に続くモノの象徴としての意味がありました。

ヘビは脱皮して変化しながら成長し、強靱な生命力を持った存在です。

それが自分の尾を食べることで、始まりも終わりもない無限ループになる。

自分で自分を食べる蛇、食べるうちどこかで死んでいるはずw

循環性・永続性・始原性(宇宙の根源)・無限性(不老不死)・

完全性(全知全能)など、壮大なイメージをはらんでいます。

 

 

映画は原作に忠実に作られ、監督は 「デイブレイカー」 スピエリッグ兄弟

原作が良いだけでなく、主演の2人によるところが大きい。

あまり話せないので、早くもコチラ↓

【ここからネタバレ】

 

 

(commonsensemedia.orgより)

 

 

【登場人物】 ほとんどジェーンとジョン、ときどきロバートソン。

ジェーン…… サラ・スヌーク。一人二役で男と女を、外見・雰囲気・話し方まで演じ分けた。

ジョディ・フォスター に似てません?今作では エドワード・ファーロング にも。

ジョン…… イーサン・ホーク「いまを生きる」 の多感な少年、「生きてこそ」 の誠実さ意志の強さ、私どっちも泣きました。どんな役柄も切に感情移入させるところが素晴らしい。

ロバートソン…… ノア・テイラー。出演作多数、不思議な雰囲気が今作に合ってる。

 

 

ここがどこなのか、何年のことなのか、主人公は誰なのか…

ある男がビルの地下に降りると、そこには爆弾が仕掛けられていた。

解除にかかると誰かが彼を襲う。相手の顔はわからないが、緊迫したシーン。

なんとか振り払い、持っているケースは爆弾処理機だったので、中にその爆弾を入れると

時間ギリギリで爆発、その余波で彼は顔面を炎に焼かれてしまう!

次には病院にて治療の場面。彼は優秀な捜査官で、今回の働きを表彰される。

追って最後の重要な指令が届くという。彼はずっとこの爆弾魔を追っているのだ。

 

 

 

 

犯人は不完全な爆弾魔/フィズル・ボマーと呼ばれ、1975年からずっと

過去何年にも渡り、完璧に爆発をやってのけてきた。NYが壊滅するほどのヤツだ。

捜査官は顔面を整形して全くの別人に。声まで変わってしまったらしい。

家の引き出しには様々な録音機が。その一つを取ると、自分の声を録音。

「7年前の君に忠告する」 最後の指令で、今度こそ決める覚悟をしたらしい。

なぜ7年前?どうやら過去の自分へのアドバイスらしいが…

どゆこと?観ている私も意味がわからないまま、ついていくしかない。

 

 

ポップ酒場…さっきの捜査官はバーテンになり、来客を待っている。

ある男が一人やってきて、ジョークを話せと言う。バーテンもそつなく

「卵が先か鶏が先か」 「雄鶏」

「だよな、まず交尾だ」

男の客はペンネーム 『未婚の母』 で、告白話を雑誌に書いているという。

二人は何気ない話を続ける。本編に関係ないようで、実は重要なポイントが。

「アンタの書く話は女の視点だ」 客の男は人生に疲れた感じ。

期待せずに観ていた私、この時までひどく退屈だった。

 

 

(tsutaya.tsite.jpより)

 

 

「私が少女の頃」 客が話し始めると、バーテンも私もハッとなった。

これには騙された!確かにそういえばそうだ…という感じ。

1945年、彼…いや彼女は、生後すぐに児童保護施設の前に捨てられたという。

ジェーンと名付けられて育ち (身元不明…そういう子を ジェーン・ドゥ という)

成長するとセックスに違和感を覚え、自分は他の女の子とは違うと感じた。

彼女はタフでどの子よりも強く、どの子よりも優秀だった。

卒業後、政府の仕事の声がかかる。身体能力の高さで宇宙へも行けるというのだ。

 

 

当時、宇宙へ長期滞在する者には慰めが必要だと。従軍慰安婦みたいな?

品位と強さ、処女ならなおのこと適任。応募してきたのは娼婦まがいの女も多く

ジェーンが一番優秀だとわかる。多少困った点はケンカっ早いことか。

しかし身体検査でとんでもないことが判明。ジェーンは 両性具有だった。

審査官は本人にはその事実を告げずに、資格剥奪とした。

審査に落ちた彼女は、管理官ロバートソンの言葉を信じ

また必要とされる日まで待つことにし、バイトの傍ら告白話を書き始めた。

 

 

(lrnc.ccより)

 

 

そんなある日、ジェーンは人生を一変するカレと出会う。その相手とぶつかり

「ごめんなさい。道に迷った?」 「人を待ってる」

「待ってるだけじゃダメなのよ」 「残りモノしか手に入らないから?」

これはリンカーンの名言だが、運命的なものを感じ付き合い始めたという。

それを聞いているバーテンが言った。「悲劇の幕開けだな」

「恋に落ちたことは?」 ジェーン (今は男) が聞くと 「一度」

しかし幸せは短かった。二人でいたある日、「少し待ってろ、すぐ戻る」

それきりカレは二度と戻らなかったのだ。

 

 

そしてやっとロバートソンが迎えにきて、隠れた政治活動にスカウトされた。

ジェーンの際立った能力、家族のいない孤独さも、選ばれし者としてうってつけ。

しかし彼女は、あの男によって 妊娠していた…

無事出産は終えたが、その時に本人も両性具有だとわかる。

元々二つの性器を持ち、分娩により子宮は摘出したため

医師は残った男性部分で再建したという。

知らぬうちに性別が変わるなんて!

乗り越えられる人はそんなにいないだろう。

 

 

(johnmcdonald.net.auより)

 

 

生まれたのは女の子。母親と同じくジェーンと名付けられた。

しかしほどなく新生児室から、何者かに盗まれたという。赤子の行方はそれっきり

犯人はきっと父親だろうということになる。怒濤の展開!

ジェーンはその後性転換手術を繰り返し、話し方も変わり完全に男になった。

鏡に映る自分が怖かった。男になってどう生きればいい?

彼女…いや彼は、あのカレに憎しみを募らせるしかなかった。

「妙だよな、この顔を見ると人生を壊した男を思い出す」 

この言葉も重要ポイント。

 

 

それからのジェーンはNYで色んな仕事をしながら告白話の原稿を書いた。

もうどうでもよくなった。それほどに波乱万丈な半生だった。

「愛なんかいるか」 告白話をずっと聞いている、バーテンの様子も意味深。

「お前の人生を壊した男を差し出すと言ったら?殺すか?」

なぜかバーテンはジェーンの相手の男を知っていて、その男はジョンだという。

見返りに彼の仕事を継げば、居場所に案内するという。

 

 

(nenozero.infoより)

 

 

仕事内容はもちろん、爆弾魔を追う捜査官だった。

バーテンはバイオリンケースを取り出し、突拍子もない展開に!

「お前を過去に弾く。時標変界キットだ。タイムマシン」

横の数字スロットを1963年の日付に合わせる。ジェーンも半信半疑だったが

2人でケースを囲むと、シュッ!どこかの倉庫らしき場所へワープ。

「最初のジャンプはキツい」 「ありえない!」

 

 

指令を出すロバートソンは1985年にいるという。

タイムマシン発明の年、ゼロ地点1981年から、過去にも未来にも53年跳べる。

バーテンも天涯孤独で、コトが済んだら全部わけを話すと言う。

「よし、ヤツは?」 「ヤツはこの先でジェーンと会うところだ」

「過去を変えられる?私に選択肢は?」

「もちろん常にある。宿命ってヤツもある」 ここも重要ポイント。

 

 

(tsutaya.tsite.jpより)

 

 

そして男との出会いの場所へ。身構えるジェーンにぶつかってきたのは

当のジェーン本人だった。しかもあの時と同じセリフを。

「待ってるだけじゃダメなのよ」 「残りモノしか手に入らないから?」

ショックと同時に戸惑いながら、マジマジと過去の自分を見つめる。

「こんな顔だったのか…キレイだ」

自分が自分に惚れて?!

もうおわかりですね。いや、私だって途中からうすうす気づいていましたが…

そんなわけないじゃん!どうすんのコレ!という気持ちが強すぎて

見て見ぬふりをした!映画鑑賞中に、ありえんw

 

 

ジェーン=ジョン の、本人同士のラブシーンを影で見ているバーテンは

単身1970年にタイムトラベル、そこには爆弾を仕掛けている人物の姿。

銃撃戦になり、犯人の方が一歩強かったか、バーテンは倒される。

すると別な部屋でまたもや銃撃戦。バーテンがソコへ向かうと

顔を焼かれた男 がケースに手をのばしていた。

いや、ちょっと待って… おわかりですね。イヤな予感はしました。

マジどうすんのコレ!見て見るふり、今度は見る!

 

 

(filmaffinity.comより)

 

 

お互い同じケースを持ってる男は、ヤケドのまま1992年に跳び、バーテンは1964年に。

跳べば多少なりともダメージを負うらしい。録音機に吹き込む。

「いよいよこの日だ」 爆弾魔の仕業は1975年から。

待ってくださいよ。時系列整理しないといかんが!(それは後ほど)

その頃ジョンとジェーンは1963年で付き合い始めていた。

ジョンは 「私は人の心を読める」 そりゃそうだ、本人なんだから。

だからこそジェーンが運命的なものを感じ、本気になったのだろう。

 

 

バーテンはロバートソンと会っていた。

「違法なジャンプは重罪だ。精神病や認知症のリスクも高まる」

「未練があって。俺のせいで彼女は深手を」 ジェーンたちのことですか。

「自分の尾を食うヘビか」

「それが定めだ。君は単なる捜査官じゃない、タイムトラベルの矛盾から生まれた、

この世で唯一過去との繋がりを持たぬ者」

プリデスティネーション・パラドックス?!

 

 

(imdb.comより)

 

 

「雄鶏だな」 「だが未来への種は撒き損ねるな」

ロバートソンもケースを片手に、タイムトラベルしてきたようだ。

「俺の知らない未来を見る日が来たら?」 「普通の人のように日々を生きろ」

そして子どもを新生児室から盗んだのは、やはりと言おうかバーテンだった。

そして1945年に跳び、赤子を養護施設の前に置いてくる。

ホント待ってくれ!時系列整理じゃない、アタマの整理が間に合わない!

「いい旅を、ジェーン。強くあれ、ジョン。未来は明るいぞ」

 

 

バーテンはさらに1963年に跳び、デート中のジョンに目配せをする。

ジョンもわかっていて?最後の言葉をジェーンに告げて去るのだった。

自分の運命がわかっていて、逆らうでなく、流されるでなく…

しかし、ジョンが怒りに燃えるのは当然。「私をハメやがったな」

「選択肢は与えた。去るしかない、それが定めだ」 「愛してるんだ」

「お前は彼女を見つけ、彼女を知り、自分を理解した。

俺のこともわかるだろ?」

うーん、とうとうそうきたか!この会話の続きは一番最後。

 

 

(amazon.co.jpより)

 

 

さあて、このイヤな気持ちを抑えての、最終局面。

ジョンはジェーンを遠くから名残り惜しそうに見つめる。

「傷つける気はなかった」 「彼女もわかってる」

そして人類にとって最も重大な任務を終えるため、1985年に跳ぶ。

「皮肉なことに爆弾魔が逆に組織を成長させたのだ」

ロバートソンは知ったふうなことを言うが、まさかコイツも……

もうこうなったら、誰が誰で何がどうなってもどうだっていい。

 

 

そしてバーテン、いや中年のジョンは1975年へ。機能停止、ここが終点?

しかし座標はエラーを示した。テーブルにあるのは爆弾の注文書!

「注文書をたどれ」 「ロバートソン」 彼自身のメモが殴り書きされている。

確かあの時、犯人の注文書を手に入れ、ロバートソンに渡したはず?

その頃録音機を聞く若いジョン、「7年前の君に言っておく」

1985年、最初の任務だ。彼は観念し、ロバートソンから仕事を請け負う。

中年ジョンは、告白話を書く…著者ジェーン。ああもう、なんだかわからない!

 

 

ロバートソンの調査により?犯人の居場所はコインランドリーとわかる。

「驚いたな、元気か?」 それは初老の浮浪者のような 自分自身だった!

元気かって?自分に自分が言うセリフか。

私も気づいてはいた。負け惜しみじゃない、信じたくなかっただけ!

ロバートソンが言っていたコトが思い出される、認知症や精神病のリスク。

精神的不安定さから、自分自身が爆弾魔に?

「自分の尾を永遠に食い続けるヘビか」

 

 

(whatculture.comより)

 

 

ソイツが言うには、爆破することで結果として大勢の命を救ったという。

その後兵器工場で起こるであろう、強盗やら化学物質流出を防いだのだと。

「殺した数も覚えてるか?次は1万人死ぬぞ」

「運命だと言うが、結末が決まってる。どうせ俺らは操り人形だ。ロバートソンのな」

歯がガタガタで汚い銀歯、身体がガタガタなのも、イーサン・ホーク の役作り?

「お前にはならん!」 

「俺を撃てば、お前が俺になる。明日の 俺たちの 計画を話そう」

ドン!中年のジョンは初老のジョンを 射殺まあそうするでしょうね…

 

 

あの時、中年ジョンは若いジョンにこう言っていた。

「俺のこともわかる頃だろ。俺もまた彼女を愛してる」

これで若いジョンも全て理解し、捜査官の仕事に就く決心をしたのだ。

ジェーン=ジョンの、これまでの人生が走馬灯のように流れる。

中年ジョンの身体には思った通り、性転換の手術跡が。

「選択を迫られ過去を動かす。未来が変わるかは分からない。

わかるのはお前は最高だってことだ。お前がひどく恋しい」

 

 

(theguardian.comより)

 

 

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ラストは中年ジョンの顔のアップで終わるのですが、あの後どうなった?

私は、最後の選択を迫られた中年のジョンが

やはり爆弾魔になったと考えます。

社会の不正をただす目的で始めたけど、歯止めがきかなくなったというわけで。

そして若いジョンがその自分を追ってくるはずだと。

あの時ジェーンとイヤイヤながら別れた、若いジョンの気持ちと一緒で

抗えない強い何かに突き動かされたか、不安定な精神が影響したか

この運命には絶対に逆らえない、時の強い流れがあると思う。

 

 

ジェーン → 若いジョン → 中年ジョン/バーテン → 

初老ジョン/フィズル・ボマー

女性として生まれ男性に性転換し、女性の自分と子どもを作り

生まれたのが自分自身。捜査官になり火傷を負って整形手術

爆弾魔として変貌、最後は自分自身に殺される。

自分が自分を愛し・自分を産んで・自分を殺す?!

ジェーン……⑴~⑷ジョン……1⃣~6⃣バーテン(中年ジョン)①~⑩

ということで、年代別にそれぞれの人物が時空を越えていった先も表示し

構図ができたところで、時系列の整理ができました。

 

 

(eiga.comより)

 

 

1945年、(1964年より) ⑥バーテン が赤子 ⑵ジェーン を施設に置き去り(1963年へ)

 

1963年、(1945年より) ⑶ジェーン は 3⃣ジョン と出会う。(1964年へ)

       (1970年より) 3⃣ジョン は ⑶ジェーン に会いに来て、去る(1985年へ)

       (1970年より) ③バーテン 3⃣ジョン を連れて来る(また1970年へ)

       (1945年より) ⑦バーテン 3⃣ジョン を迎えに来る(1985年へ)

 

1964年、⑴ジェーン が生まれる(1945年へ)

       (1963年より) ⑷ジェーン が出産、性転換し 1⃣ジョン になる(1970年へ)

       (1970年より) ⑤バーテン が赤子 ⑴ジェーン を病院からさらう(1945年へ)


1970年、(1964年より) 2⃣ジョン が酒場へやってくる(1963年へ)

       (1992年より) ②バーテン が酒場で働く(1963年へ)

       (1985年より) 5⃣ジョン は爆弾処理中に余波で顔面を焼かれる(1992年へ)

       (1963年より) ④バーテン は顔を焼かれた 5⃣ジョン を発見(1964年へ)

       (★1975年より) ⑩バーテン は爆弾犯 フィズル・ボマー になる(★1975年へ)

 

1975年、(1985年より) ⑨バーテン は爆弾魔と会い射殺(★1970年へ)

        (★1975年より) フィズル・ボマー⑨バーテン に射殺される

 

1981年、タイムマシンが発明される

 

1985年、(1963年より) ⑧バーテン 4⃣ジョン をロバートソンの元へ(1975年へ)

       (1963年より) 4⃣ジョン は爆弾捜査を請け負う(1970年へ)

 

1992年、(1970年より) 6⃣ジョン は整形手術で ①バーテン の顔になる(1970年へ)

 

 

(wikipedia.orgより)

 

 

「ニワトリが先か卵が先か」 表面で見えたモノだけを追っていけば

「始まりがあって終わりがあった」 ようにも思えます……しかし、映画のラスト

1975年のバーテンが、次に飛ぶ年代は1970年、爆弾事件の最初だとすれば

そのままフィズル・ボマーとなり、1970年から1975年が繰り返しのループになります。

また、バーテンの始まりが整形手術後とすれば、1992年からループは始まっています。

バーテンが男性のジョンから始まったとすれば、出産後の1964年からでもあるわけで

さらには女性のジェーンから始まったのが本当なので、生まれた年からとしても

結局すべてが、永遠のループなのです!

 

 

(imdb.comより)

 

 

いわゆるタイム・トラベルものでは、禁忌とされる法則があります。

それがタイムパラドックスで、最も有名な例が 「親殺しのパラドックス」

過去へ遡った者が、自分が誕生する前の両親を殺害したら、一体どうなるか?

①②③ のパターンがあるといいます。

 

①どう画策しても殺すことができない → 矛盾が生じない

 

②両親は自分を生む前に死亡し、自分も消滅する

そうすると自分が過去へ遡ることもなく、両親が死ぬこともなくなる → 矛盾である

 

③時間軸が分岐してあらわれる 「パラレルワールド=並行宇宙」

親殺しは別の並行宇宙で行われ、過去には何の影響もない → 矛盾とは言わない

その人が死んでいる未来と、

生きている未来が並行して存在するという。

 

 

(staticmultimedia.comより)

 

 

今作は親殺しのパラドックスでなく

自分殺しのパラドックスです。自殺か?

そもそも時間旅行中に自分自身とは関わってはいけないとされているのに

自分と子作りも矛盾だし、自分を産むって…もうメチャクチャ!

ドッペルゲンガーじゃなくて、バイロケーションというのもありますが。

矛盾を生じさせないためには、フィズル・ボマーを射殺したバーテンが

その後フィズル・ボマーに変貌すれば、存在は保たれるわけです。

しかし、もし変貌しなかったらどうなっていたか……

 

 

そこで、カギを握るロバートソンの存在が浮かび上がってきます。

私は最初、若いジョンが少し成長したのが、ロバートソンなのかもと思いました。

サラ・スヌークイーサン・ホーク になったのには、整形でも無理があると思って…

しかし顔を焼かれた人物は、サラ・スヌーク の風貌だった。なのでこう考えました。

バーテンがフィズル・ボマーとならない選択をした場合

変貌したのがロバートソンなのでは?

そして自分自身の犯罪を取り締まっている。

自分を育成し、自分を監視し、自分に指令を出す!

 

 

(imdb.comより)

 

 

こんなカラクリを考えた ハインライン、こんな作品もあります。 「時の門」

主人公はタイムトラベルにより、自分自身と関わっていることに気づく。

彼はこの時なんでもいいから過去と異なる行動や言動をすれば

この堂々巡りの連鎖から逃れられるはずだと思いかけるが

結局行動にも口にも出さず、かつての自分と全く同じように行動した。

そもそも自分自身が複数存在することはオッケーなのに

それによってこの世界は決して変えられないという

宿命が横たわっていた。

 

 

しかし、今作には人生の分岐点があります。

                              ↗ ロバートソン

ジェーン → 若いジョン → 中年ジョン/バーテン

                              ↘ 初老ジョン/フィズル・ボマー

 

分岐した人生も飲み込むと、さらに大きな時系列の輪になって、収拾がつかない。

選択できるってことは、運命は変えられるってことですね。

ロバートソンの存在を受け入れるとしたら、この運命は矛盾している。

これこそが 宿命の逆説・プリデスティネーション・パラドックス。

 

 

意外すぎるストーリーって、今作以上のモノありますか?

自分を知り自分を愛し

自分を追い自分を憎む。

この映画、自分しか出てこないわ!……いいんです。

こうなったら、自分自身をトコトン突き詰めてみましょう。

知らない自分が出てきたり、愛すべき自分もきっといる。

考えただけでワクワクが止まりませんわ!

 

 

(kernelketchup.comより)