タイ・ハネムーン珍道記
~バンコク近郊編(2日目)~
その5・真実の聖域 チョンブリー県





チョンブリー県内に設けられた特別都市・パタヤーはタイでも老舗のリゾート地のひとつである。


ベトナム戦争時代に米兵の保養地として整備されただけあり、現在もタイの気軽な観光都市として機能している。




そんなパタヤーにあらゆる宗教をミックスした不思議な宗教施設が存在することをご存じだろうか。


通称「サンクチュアリー・オブ・トゥルース(南伝仏教で使用されるパーリ語にて真実の聖域という意味)」と呼ばれる寺院「プラサート・サッチャタム」がそれである。


真実の聖域はパタヤー湾の北方、ナクルア湾との間にある小さな岬の先端に位置している。




車の販売で財を成した大富豪レック・ウィリャ・パンが「永遠をこの世に出現させたい」というテーマで1981年に建設を始め、
彼の死後も完成を目指して毎日400人もの作業員によって作業が続けられており、パタヤー版あるいはアジア版サグラダ・ファミリアの異名もある。




高さ105m、幅100mもある巨大建造物を金属製の釘などを一切使わず、オール木材で組み立てられているというのだから驚きである。


「釘を使わない木造建築」としては世界一の規模として認められているそうだ。




更に驚きなのは仏教とヒンドゥー教の各種神像が建物全体を飾り、インド、中国、カンボジア、タイの哲学をミックスした独自の思想を象徴している点だ。




入場料は日本円にして1500円とタイの観光地にしてはやや高めの印象であったが建物内の見学だけではなく、装飾の木彫り製作現場の見学も出来るのでまあ仕方ないのではないだろうか。






内部はいくつかのセクションに分かれており「輪廻からの解脱」、「社会の進歩と魂」、「空・大地(四大元素)」、「父・母(慈悲深き)」といった感じに大分スピリチュアル色が強い。




前述した通り、建築途中の施設なので事故防止のため見学の際にはヘルメット着用が義務付けられている。




トンカントンカンと鳴り響く作業音と荘厳な装飾品、常に聞こえてくるスピリチュアルな雰囲気の音楽にしばし体を預け、窓からパタヤーの海を眺めながらこの世の永遠とは何かを考えてみるのも良いだろう。